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特定支出控除の仕組み

また、控除できる金額についても、「給与所得控除額の2分の1を超えた金額」に拡大された(給与などの収入金額が1500万円超の場合は125万円)。たとえば年収700万円の人は、給与所得控除190万円の半分、95万円を超えた金額を給与所得控除後の金額から差し引ける。

ただ、この制度を利用するにはいくつかの壁を越えなければならない。まず会社との交渉だ。

「会社に頼んで証明書にハンコを押してもらい、確定申告時に提出することが必要。証明書にハンコを押しても会社側にデメリットはないはずですが、なじみのない制度なので、『面倒なことを持ち込むな』と言われる可能性も」(岩松氏)

また、税務署からの調査も覚悟しておいたほうがいい。

「平成20年に特定支出控除をした人は6人と言われています。利用すると目立つので、税務署から『ちょっと話を聞かせてください』と電話がかかってくる可能性は高い」(同)

その点で言うと、カツラ代控除へのハードルは低くはないが、試す価値はある。(1)資格取得代などとあわせて、給与所得控除の2分の1以上に経費を積み上げ、(2)仕事上必要だと説明でき、(3)会社から証明書にハンコをもらえれば、カツラでも控除が認められる可能性はあるのだ。たとえば女性相手の営業のため、会社からカツラの装着を指示されたが自己負担になる場合などは、仕事用だと言えるのだから、挑戦してみてはどうだろうか。

(図版作成=ライヴ・アート)
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