副業分の住民税は「天引き」をやめる

ガソリンや食品など物価が高騰するのに、サラリーマンの給料は頭打ち。副業や投資に希望の活路を見出す人も少なくない。FX投資などで利益を得る、居酒屋でバイトをする、副業でライターやカメラマンをするなど様々な方法があるが、会社に知られず小遣い稼ぎをしたいと思うのがサラリーマンの心情だろう。 そこで注意したいのが、住民税の支払い方法だ。住民税は前年度の所得に応じて課税されるが、サラリーマンの場合は通常企業が納付を代行している。つまり「天引き」である。ここで仮に、企業が支払った給与に何らかの所得が加わっていると、その分住民税も高くなる。会社はその個所をチェックしているので簡単に足がついてしまうのだ。かつて住民税は所得に応じた段階制で、少々複雑な計算が必要だったが、2007年度から一律10%になったため、住民税に10をかければ、前年度の所得が簡単に暗算で割り出せるようになってしまった。

しかし、住民税の納税については会社の給与から天引きされる以外に、自分で納めるという方法を選ぶことができる。税務署からもらう確定申告書を確認してみるとわかるが、左隅の部分に住民税の納付方法を選択する欄がある。ここで「給与から差引き(特別徴収)」ではなく、「自分で納付(普通徴収)」を選べば、副業部分にかかる住民税については納付書が自宅に届くので、期日までに金融機関で納付すればよい。この方法なら会社に通知がいくこともなく、副業での収入を知られる心配もなくなるのだ。

「住民税の納付方法」を変更すれば、会社にバレずに副業できる!
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「住民税の納付方法」を変更すれば、会社にバレずに副業できる!

ところで、サラリーマンの税務申告には特例がある。本業以外で収入を得た際、その所得(収入から必要経費を差し引いた額)が20万円以下であれば、原則として申告義務が免除されるのだ。

たとえば20万円の収入(報酬)があった場合は通常、その10%、すなわち2万円の税金が源泉徴収されている。10万円の経費がかかったとすると、経費10万円を収入20万円から引いた所得は10万円。これに所得税率(5~40%でその人の総所得金額によって異なる)をかけた金額が最終的に負担すべき所得税額になる。もしこの人の税率が10%だったとすると副業分について支払う所得税は1万円。先述の特例により、所得が20万円に満たないため申告義務はないが、申告すれば1万円超(=2万円マイナス1万円)の還付金を受けることができる(住民税に留意)。ただし、原稿料やアルバイト代などは通常、源泉徴収されており、その分の支払調書は税務署に送られているので、経費を水増しして申告しないといった不正は、税務署にバレるものと肝に銘じておくべきだ。また、住宅ローン控除や株式売却損の繰越控除などの適用を受けるために申告する場合は、20万円以下の所得も含めて申告しなければならない。

税法上、所得税の区分は10に分かれているが、副業やアルバイトで得た所得は自営業などと同じ「事業所得」または「雑所得」として申告できる。「事業所得」では損益の集計などの事務負担が生じるが、その最大のメリットは損益通算ができる点。副業の経費が収入を上回った場合、給与や不動産の賃貸収入など他の所得と通算でき、課税所得を低くすることができる。一方、「雑所得」では、他の雑所得との通算しかできない。

なお副業の年間所得が20万円以下でも、本業と合わせて年収2000万円を超える人は、確定申告の義務がある。2カ所以上から給与を受け取っていたら、年末調整をしてくれるのはメーンの1社のみ。まとめて申告すると、払いすぎた所得税が戻る場合もある。

(野崎稚恵=構成)
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