AI分野が遅れている日本の大学教育
第2は中国だ。 中国は製造業の産業革命を1980年代に実現し、「世界の工場」となったが、その後さらに教育・研究制度を充実し、 AIを中心とする産業構造への転換を行なおうとしていると評価することができる。
第3は香港とシンガポール、そしてオーストラリアとカナダだ。これらの国・地域は、製造業の時代でも経済成長したが、さらに新しい形態の経済に向かって進化しつつあることがわかる。
アメリカやイギリス、シンガポールなどの国・地域が AIの時代に向けて大学の教育・研究活動を充実させているのに対して、日本はこの分野での教育・研究体制の充実が遅れている。製造業中心の経済構造や価値観から脱却できていないのだ。
現在のままの大学教育・研究が続くとすれば、日本は来るべき AIの時代に大きく後れを取ることになるだろう。したがって、大学における AIの教育・研究の充実は、緊急の課題だ。
AI発展の障害となるトランプの関税政策
なおこれに関して、現在、アメリカのトランプ政権が進めている関税政策は時代の流れに逆行していることを指摘したい。「MAGA(Make America Great AgAIn、アメリカを再び偉大に)」を掲げるトランプ大統領は、関税をかけることによって、輸入品の流入を阻止する一方で、海外に展開した生産拠点を回帰させることで自動車産業や鉄鋼産業などのアメリカの製造業を再生しようとしている。
しかし、アメリカの将来を決めるのは、このような産業ではなく、 AIだと言ってよい。その分野の発展のために、トランプ政策はかえって障害になるだろう。
アメリカはすでに AIを中心として、新しい方向での経済成長を実現しつつある。かつての製造業の中心地であるラストベルトも、それによって復活している。
実際、 QSランキングで世界第2位のカーネギー・メロン大学の本部は、ラストベルトの中心地ピッツバーグにある。

