ただ、私がローン返済の相談を受ける際は、「固定と変動のミックス」に落ち着くことが多い。変動金利のメリットを受けつつ、リスクに備えるというわけです。
例えば、共働き夫婦が3000万円のローンを組むときに、夫が変動で1500万円、妻が固定で1500万円というように。さきほど表で比較した物件と同じ返済条件で試算すると、(1)固定金利1500万円分の返済額に、(2)変動金利(上昇幅2%)と、(3)同(上昇幅3%)1500万円分の返済額を加えると、(1)+(2)の総返済額は4087万円、(1)+(3)は4244万円。無理なく固定と変動の利点を享受できるのです。
では、すでに変動金利で返済している家庭はどう対処したらいいでしょう。景気回復への期待感から、固定金利の動きを左右する長期金利がこのところ上昇気味です。
「これから金利は上がるから、変動から固定に切り替えるべき」という論調も多く見受けられます。
でも、慌てて固定に切り替えるのは得策とはいえません。仮に、目先の金利が上がっても、上がり続けることは、通常ありません。変動で金利が動くのは当たり前。慌てるようではそもそも自分にあわない金利タイプだったのです。
夫婦共働きで繰り上げ返済に回す余裕資金があるなら、そのままでいいかもしれません。また、ローンの借入期間が残り少なくなっているのであれば、それほど慌てる必要はないでしょう。
ローンの借入期間がまだ残っている人や余裕資金がない人は要注意です。金利の上下動が不安でたまらないなら、返済額が増えてしまいますが、固定に切り替えるのを検討するといいでしょう。
(構成=大塚常好)