認知機能の低下によって現れる「6つの運転行動」
別の分析でも、注意力の低下や処理速度の低下、視空間機能の低下などが、それぞれ事故リスクを高める要因となることが示されています。
ただし留意したいのは「高齢=認知機能低下」ではないという点です。実際、多くの高齢ドライバーは認知機能に大きな問題がない状態で運転を続けています。
その一方で、認知機能は年齢とともに個人差が大きくなるため以下のようなことが重要になってきます。
「定期的に自分の心身の状態を知るために手立てを打つこと」
「そのうえで、必要に応じて対策を取ること」
すなわち、身体機能や認知機能の変化を正しく理解し、早めに対応することが、安全に運転を続けるための大切なポイントといえるのです。
では、認知機能の低下の予兆はどのように把握すればいいでしょうか。
欧米の研究で、認知症およびその疑いがある方の運転の特徴を調べたものがあります。
その結果として挙げられているのが、「①慣れた道でも迷う」「②周囲に応じた速度調整ができない」「③右左折時の確認や合図が不十分になる」といった行動です。加えて、「④車線内でふらつく」「⑤信号を見落とす」「⑥標識に気づかない」といったミスも見られるのだといいます。
いずれも、事故に直結しかねないサインです。
一度のミスだけでは判断が難しい
ただし、重要なのは「一度のミス」よりも、その「変化と頻度」です。
以前は問題なかったのに、同じようなミスが増えてきた場合は、運転に関わる心身の機能低下が影響している可能性があります。
特に、家族が同乗していてヒヤリとする場面が繰り返される場合は注意が必要です。
また、初期段階では会話など日常生活に大きな違和感がなくても、運転場面では変化が表れていることがあります。
「まだ大丈夫そう」という印象だけで判断せず、実際の運転行動を基準に見極めることが重要です。
もちろん家族といえど、兆候を見極め、白黒つけるのは、簡単ではありません。「初期の認知症の方の7割弱が路上試験に合格した」という欧米のデータもあるほどです。
子や孫世代に求められるのは、「やめさせること」ではなく、「変化に気づき、適切につなぐ」ための相談相手やカウンセラーになることです。
判断に迷う場合は、まず、体調維持や処方薬の影響などについて「かかりつけ医」へ相談しましょう。専門的な視点で状態を評価し、運転継続の可否について助言してもらえる場合もあります。
日常のなかで兆候を見極め、安全に運転を続けられるのか、それとも医療的な判断が必要なのかを冷静に判断していくことが重要です。
また、自動車学校での“ペーパードライバー講習”を受けると専門家の実践的なアドバイスを受けることができます。


