「21世紀の韓国サッカーで最悪の試合」と酷評
どのような経緯で採用された監督であれ、実績さえ伴っていれば国民の不満が蓄積することもなかったかもしれない。だが、残念ながら現実はそうはならなかった。
元韓国代表DFでKBSの解説者を務める李榮杓(イ・ヨンピョ)氏は、W杯グループステージの南アフリカ戦を「21世紀の韓国サッカーで最悪の試合」と断じている。コリア・タイムズによると、「組織もなく、目的もなく、なぜ選手たちが走っているのかすら理解しがたかった。10年以上解説してきて、最も説明しがたい試合だった」と舌鋒鋭い。
Korea’s failure to reach the round of 32 at the 2026 FIFA World Cup has unleashed a wave of fury back home. Fans and experts say the result was not a sudden collapse but the inevitable outcome of years of mismanagement, elitism and controversy surrounding the Korea Football…
— The Korea Times (@koreatimescokr) June 28, 2026
戦術の欠如を、一本の映像が如実に物語っている。昨年11月、ガーナとの親善試合前に撮影された戦術ミーティングの舞台裏映像だ。洪監督がスクリーンに映し出したスライドには、英語でただ一語、「FIGHT」と書かれていた。洪監督は選手たちにこう語りかけている。
「ファイト。みんな知ってるだろ、ファイトって言葉。グラウンドに出てファイトしろ。退場だけは絶対にダメだ。今日、俺が見たいのはそれだ」。フォーメーションの指示も相手の分析もなく、精神論に終始するこの映像は、ファンの間で瞬く間に拡散した。
韓国中央日報英字版のコリア・ジュンアン・デイリーによると、ファンの怒りは、街頭でもオンラインでも一気に噴き出した。複数の店舗が入り口に「洪明甫、入店お断り」の貼り紙を掲げるほどだった。
かつてファンに拒絶された監督を再起用
なぜ、ここまでの怒りが噴出したのか。その発端は、W杯より前、2024年夏の監督選任にある。
コリア・タイムズによると、同年5月の時点で代表監督の選考委員会は、プレミアリーグのリーズ・ユナイテッド元監督ジェシー・マーシュ氏を第1候補、当時イラク代表を率いていたヘスス・カサス氏を第2候補に選んでいた。選考委員会が正規の手続きを踏んで選出した人選だ。
ところが選考委の委員長を務めていた鄭海成(チョン・ヘソン)氏が辞任すると、選考の流れは一変する。KFA前技術委員長の李林生(イ・イムセン)氏がKFAの鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長から監督人事を一任され、選考委の推薦を退けて洪明甫(ホン・ミョンボ)氏を監督に据えた。
洪氏は2014年のブラジルW杯で初めて韓国代表を率いたが、グループステージ敗退に終わっている。カタール国営衛星テレビ局のアルジャジーラによれば、怒ったファンが帰国した代表チームに対し、「ヨッ」と呼ばれる韓国の飴を投げつけた。韓国では相手を強く侮辱する行為とされる。かつてファンに拒絶された監督を、選考委の推薦を退けてまで再び起用したことで、不信感は一気に高まった。
