過去にどこで生活していたか想像可能
解剖したご遺体が、どこで、どういう生活をしていた人か想像がつくこともあります。高度経済成長期に都市部で生活していた80代以上の方の多くは、非喫煙者でも肺に排気ガスの化学物質や粉塵、黄砂などの微小粒子が黒くポツポツと沈着しています。解剖に立ち会った経験の少ない警官がみれば、「タバコ好きだったんですかね」と言うほどです。
逆に、80代以上で肺が赤ちゃんのようにきれいなピンク色をしている場合、大気汚染のない田舎で長年暮らしてきたことがみて取れます。
現在、40代、50代の方であっても、肺をみれば都市部に暮らしていたのか、空気のきれいな地域で暮らしてきたのかが容易に想像できます。都市部に住んでいる40代と田舎で暮らしている40代では肺の汚れ方が違うのです。
農業従事者、建設現場で働いた人の特徴
さらに、動脈の石灰化を伴う肺気腫があれば、喫煙者だったことがわかります。塵肺症があれば、若いときに粉塵を浴びるような仕事をしていたことが推察できます。
筋肉の発達がよい場合、生前に肉体労働に従事していた方だとわかります。
皮膚も、ご遺体の生前の様子を教えてくれます。年齢のわりに日焼けをしている場合は農業に従事していた方が多いですし、長袖の日焼けをしている場合は建設現場や工事現場などで肉体労働をしていた方だろうと推測できるのです。


