世界トップクラスの大富豪も逮捕された
この報道の数時間前、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子を議長とする汚職対策最高委員会が、国王の命令で設立されています。要はムハンマド皇太子が辣腕を振るえるようにしたということです。
汚職の捜査なら、既存の警察があるわけですから、法律に則って捜査すればいいはずです。それをせずに、専門組織を新設して取り組むのですから、絶対的な権力を行使しようとしたのです。
この一斉逮捕がとりわけ世界から注目されたのは、世界でもトップクラスの大富豪も逮捕されたからです。それがアルワリード・ビン・タラル王子です。
アルワリード王子は大型投資会社だったキングダム・ホールディング・カンパニーのオーナーであり、アメリカの金融機関シティグループやツイッター社(当時)など多数の企業に投資して大株主になっていました。典型的な「アラブの金持ち」として紹介されるのが常でした。こんな大物投資家ですら逮捕されたのですから、サウジ国内の王族たちは震え上がります。誰もムハンマド皇太子に逆らえなくなります。
逮捕者が収容された“まさかの場所”
とはいえ、これだけの大物を多数逮捕したとなると、通常の警察の留置場ではふさわしくないということでしょうか、逮捕された王族たちは、なんと最高級ホテルのリッツカールトンに収容されたのです。
このホテルには、この年の5月に訪問したアメリカのドナルド・トランプ大統領も宿泊したほど。ここが、王族逮捕のニュースが流れて以降、一般の宿泊客が締め出され、予約が取れない状況になりました。当時私もこのホテルの予約サイトを見たのですが、予約が取れないようになっていました。
最高級ホテルに宿泊では、逮捕と言わないだろうと突っ込みを入れたくなりますが、さすがサウジアラビア。こんなところまで突出しています。
ムハンマド皇太子に対しては、宗教保守派から反発が出ていました。サウジアラビアでは、これまで女性の自動車の運転が認められていませんでしたが、皇太子が解禁したのです。宗教保守派は、「女性が1人で運転するようになると、家族以外の男性と知り合う機会が生まれるから危険だ」と主張してきました。その主張が覆されたのです。
またこの年の10月には首都リヤドで開かれた経済フォーラムでムハンマド皇太子が演説し、過激主義のイデオロギーを排し、穏健なイスラムに立ち返るべきだと主張しました。

