コストを転嫁し続けた先の顛末は

今回の勧告を見て、単に「一企業の問題だ」と言っても解決しない。むしろ知名度のある企業こそコンプライアンス・企業倫理を遵守し、健全な業界づくりにリーダーシップを発揮し付加価値を示してほしい。

今回の分析では、本来企業が負うべきコストを払わないためにコストの外部化が発生している点を指摘したが、フリーランスなどの労働者にコストが転嫁されると、熱意ある労働者が集まらず提供価値の水準も下がりかねない。さらに近年は、そういった情報がSNSなどで長く残るため、消費者にもネガティブな印象を与え続ける。

さらに、社会全体から見て「いくらでも替えが利く」という手法は、フリーランスの労働者が市場に参画して価値提供を行い、正当な報酬や対価を受領し、彼らが一般消費者として何らかのサービスを受容するという、健全な市場や社会システムの循環を壊すことになる。

特に、芸術や文化、教育は、子どもから大人までを育てる大事な文化インフラである。営利企業として難しい側面もあるだろうが、働きやすい環境を構築して正当な対価を支払うことは、長期的な企業経営の視点で見れば企業への信頼性やブランドイメージの向上につながる。

バイオリンを弾く女性の手元
写真=iStock.com/Satoshi-K
※写真はイメージです

企業がこうした美意識やプライドを持ち、度量を見せることが、ひいては市場を健全に維持・拡大し、企業自身にも好循環として返ってくると考える。

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