かつて一蹴されていた養子案を恒久制度化
もともと「養子案」は以前、小泉純一郎内閣当時の有識者会議報告書ですでに一蹴されていた。
「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と。
加えて、天皇陛下も上皇陛下も不快に思われている事実が、知られている(『文藝春秋』7月号ほか)。
旧宮家系との交流の場であった「菊栄親睦会」の集まりも平成26年(2014年)5月以来、すでに12年間も開かれていない。世代も代わってほとんどよそ者に近い民間人を、婚姻関係もなく皇室に入れるプランなど、違和感が強くて当たり前だろう。
にもかかわらず、政府はそれを恒久制度にするつもりだ。
先の立法府の取りまとめでは、さまざまな難点にかんがみて、「特例法」による例外的な対処を強く示唆していた。それをくつがえして、あえて皇室典範の本則に新しい章(第6章)を設けて、そこに書き込む方針を打ち出した。
養子の養子の養子…も可能に
養子縁組を恒久制度化すれば、どうなるか。養子が結婚できなかったり、結婚しても男子が生まれなかったりした場合は、その養子もまた民間人から養子を取ることが可能だ。
しかも「皇族数の確保の状況等を勘案」して30年ごとに見直すことも附則に入る(附則第6条)。そうすると、「状況」次第で養子の養子の世代あたりになると、背に腹は代えられないとして、その元民間人の養子にそのまま皇位継承資格を認める変更も視野に入る。
あるいは、養子縁組の対象も「皇室典範による皇族男子であった者」の子孫=旧宮家系の民間男性(改正案第1条)という限定が解除される可能性もある。一般国民の中にも、「現に皇族でない」天皇・皇族の子孫という人物は、旧宮家より今の皇室との男系の血縁が近い皇別摂家系の民間人など、じつは意外に多い。
だから民間人の養子の民間人の養子の民間人の養子……という無限ループも制度上はありえる。しかし、それをやってしまうと俗世間との境界は限りなくアヤフヤになる。
男系男子に固執して「皇室の伝統」を守ると言いながら、皇室を皇室以外の何ものかに変質させる結果を導く。これまで受け継がれてきた高貴な気風が、将来の養子たちによって保たれるとは、考えにくいだろう。
ちなみに私もこれまで指摘してきたが、男系継承はもともとわが国の伝統ではなく、中国文明からの影響によることが、次第に広く知られるようになっている(落合恵美子氏「皇室典範改正で皇室の『中国化』が進む可能性…じつは『父系相続』は『日本古来の伝統』ではなかった』」現代ビジネス6月7日配信など)。
