晩餐会で愛子さまに言及
今回のご歴訪で重い意味をもつ晩餐会での天皇陛下のおことばでは、オランダでもベルギーでも、必ずご長女の敬宮殿下に言及しておられた。敬宮殿下が、天皇ご一家に欠かせない大切な存在である事実が、改めて浮き彫りになった。
天皇陛下のご発言によって、オランダ、ベルギーの人々には、今回はご一緒されていなくても、両陛下の直系の皇女として敬宮殿下の存在感が、強く印象づけられたはずだ。実際に、両国の次の「女王」になる王女方から敬宮殿下の近況を尋ねられたり、「よろしく」という伝言を預かったりされた事実を、陛下ご自身が明かしておられる。
ベルギーの晩餐会では「4世代にわたるご縁の近しさを感じています」とおっしゃって、日本とベルギーにおける直系継承の流れを取り上げられた。とくに、次代の女王たるエリザベート王女と敬宮殿下を並べられたのは、お生まれが同年という文脈ながら、意味深長だ。
政治に関わる発言が制約されている中で、敬宮殿下が昭和天皇から上皇陛下、天皇陛下へとつながる皇位継承の流れを受けて、その「次の世代」に位置づけられるべきことを、示唆されているようにも受け取れる。
平和の尊さを次の世代へ
ご歴訪の日程の途中、6月23日は先の大戦で沖縄における組織的な戦闘が終結した「沖縄県慰霊の日」にあたっていた。この日、両陛下はベルギーにご滞在中だった。それでも例年通り、現地で黙祷を捧げられた。
同日、皇居の御所では、敬宮殿下が同じく黙祷をされている。敬宮殿下は両陛下と遠く離れていても、お気持ちを一つにしておられたことが伝わる。
毎年、この日に黙祷をされることが知られているのは、上皇上皇后両陛下を除くと天皇ご一家だけだ。
今年の天皇誕生日に際しての記者会見で、天皇陛下は「戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ引き継いでいく役割を(自分たちと同じように)愛子にも担ってほしい」と語っておられた。そのお気持ちは、このように国民から見えにくいところでも、すでに敬宮殿下によって着実に受け止められている。
天皇陛下の危惧
天皇陛下はご出発前(6月11日)に、皇室典範の改正をめぐる政府・国会での議論が国民の期待を裏切るものにならないように釘を差す、異例のご発言をされていた。
このご発言は、政治の場での議論に対して、陛下がいかに深い不安と危惧を抱かれているかを示す。多くの国民も陛下のご真意を察知した。
しかし残念ながら、高市内閣は陛下が危惧された通り、およそ「国民の理解」からかけ離れた、皇室制度を破壊するに近い変革を企てようとしている。
その全貌は、6月30日に閣議決定された皇室典範の「改正案」に示されている。

