人材育成にまで及ぶ中国の布石

2025年12月のフィナンシャルタイムズによると、KEETAはデリバリーフードサービスの市場でサウジアラビア2位のJahezを追い抜き、首位のHungerStationにも迫る勢いだという。躍進を支えたのは、無料配送や割引クーポンといった破格のサービスだ。

今後は、こうしたキャンペーンを縮小してもユーザーをつなぎ留められるか、収益化の確実性が焦点となる。それでも現状、サウジアラビア国民の間で好評を博している。

中国経済の著しい成長に目をつけ、サウジアラビア政府は教育面でも中国との関係を深化させようとしている。サウジアラビアの2026年予算書では、2025年第2四半期時点で、公立学校で中国語を学習している生徒の総数は約5万6000人に達したと伝えている。

2019年、ムハンマド皇太子が中国を訪問した際、サウジアラビアで中国語教育をカリキュラム化することに合意した。同プログラムは一部の学校から試験的に始まり、2029年までに高校生に中国語教育を拡大していく予定だ。

サウジアラビア王国のムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール・サウード皇太子
サウジアラビア王国のムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード皇太子(写真=وكالة الأنباء السعودية/Saudi Press Agency/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

サウジアラビアの教育機関関係者の話によると、アジア圏への留学では以前は日本を希望する者が多かったが、ここ最近は将来のビジネスチャンスを見越して、中国へ留学する者が増加傾向にあるという。

サウジアラビアは中国との単なる経済協力の枠組みを超え、国家の未来を担う人材育成にまで本格的に着手しているのだ。

日本の牙城アニメにも忍び寄る中国

サウジアラビア国民の中で存在感を高めつつある中国。本来、日本の強みであったアニメコンテンツの分野においても例外ではなくなってきている。

マンガプロダクションズは、動画共有サービスなどを手掛ける中国のエンタメ企業bilibili社と契約し、2022年には前述の『ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語』が同プラットフォームで配信された。

現在約5万人以上のフォロワーを獲得し、公開から1カ月足らずで約200万回の再生数を記録した。中国語版にも吹き替えが行われ、世界的な有名アクション俳優ジャッキー・チェンが声優を務め、中国で大きな反響を呼んだ。

bilibili社は、1日あたり1億900万人以上のアクティブユーザーを誇り、サウジアラビアのコンテンツを広げる大きな市場として期待される。2025年9月には、マンガプロダクションズがbilibili社と戦略的パートナーシップを締結。『アサティール2』の中国配信、bilibili社が厳選した中国アニメ作品の中東配信、そして同社の短編アニメコレクション『CAPSULES』へのマンガプロダクションズの共同制作参画が発表され、サウジアラビアと中国のアニメ制作協力が本格的に開始された。