「日本への信頼」も圧倒的価格差には勝てず
これまで、サウジアラビアでは日本車への信頼が厚く、中古車市場でも高値で取引されることから高い人気を保ってきた。耐久性や燃費性能、メンテナンスのしやすさが評価され、トヨタや日産などの日本ブランドは長年、サウジの生活に深く根付いてきた。
しかし、近年は、中国車が先進技術を備えながら日本車よりも手頃な価格で購入できる点が支持され、サウジアラビア人の心を早速掴み、サウジの自動車市場の勢力図に大きな変化をもたらしているようだ。
一方、衣食の分野でも中国の影響が顕著に表れ始めている。アパレル分野では、中国発のオンラインファストファッション販売サイト「SHEIN」が、中東への進出を加速させている。同サイトは低価格・大量品ぞろえとして日本でも人気を博している。そうした経営姿勢は、リーズナブルな価格でサウジアラビア国民にも受け入れられ、認知度も高まっている。2025年12月末にリヤドを訪れた時、車で市内を走っていると、建設中のSHEINの配送センターをあちこちで見かけることができた。
またSHEINは、単に商品を売るだけでなく、キャンペーン、インフルエンサーとのコラボ、動画企画、後払い決済の導入で急速に現地化を進め、中東向けのマーケティングを強みにしようとしている。
2024年11月2日、SHEINはリヤドで「真珠から輝く光へ、アラブの華麗なる旅」をテーマに、最新の秋冬コレクションのファッションショーを開催した。サウジの風景である砂漠と夕陽、海洋とトレンドを融合させたファッションを披露し、若者のファン獲得にも力を入れている。
渋滞の街で広がる中国デリバリー
食の分野でも「中国化」は同様だ。灼熱の気候と慢性的な交通渋滞により、サウジアラビアではデリバリーフードサービスの市場が年々拡大している。これまではサウジアラビア発のHungerStationが大きなシェアを占めていたが、2024年9月に中国発のKEETA(美団)が進出し、わずか数カ月で急速にシェアを拡大した。
以前はHungerStationの黄色い配達ボックスを乗せたバイクをよく見かけたが、2025年12月末にサウジアラビアを訪れた際には、KEETAのロゴも目立つようになっていた。
サウジアラビアにいる私の友人たちもKEETAを愛用している。通常の食事からスイーツまで、デリバリーフードサービスはいまやサウジアラビアで欠かせないものとなっている。
サウジアラビアは自動車社会だ。とりわけリヤドは再開発が進み、退勤時間から夜にかけて道路はどこも激しい渋滞に陥る。わざわざ時間をかけてレストランへ足を運ぶより、デリバリーで手軽に注文する方が好まれているのだ。
友人たちによれば、以前は注文した食事がきちんと清潔に届くのか、そうした信頼性が重視されていたという。しかし、デリバリーフードサービスが定着した近年は、低価格と到着の速さが重視されるようになったという。KEETAは、こうした今のサウジアラビア人の要望にピッタリとあっているようだ。

