監視対象は「日本の治安を脅かすか」

次に「誰を監視しているのか?」「どんな情報を収集しているのか?」ということについて述べてみよう。

公安警察が「監視対象」とするのは、おもに次に挙げる個人・団体である。

【公安警察のおもな監視対象】

・テロリスト(及びその兆候が見られる人物や団体)
・過激な言動を繰り返す左翼団体
・過激な言動を繰り返す右翼団体
・過激な思想の宗教団体
・在日外国人の活動団体
・日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革マル派)など
・過激な思想の政治団体
・自衛隊(陸上・海上・航空すべて)

公安警察の任務というのは「日本の治安を維持すること」だから、それを脅かす恐れがある組織や人物は監視対象になる。

国家を転覆させる恐れがある動きや計画を排除するのが目的のため、それなりの規模があって影響力も大きい団体や組織の名が挙がっている。

この中に、自衛隊の名前が挙がっていることに疑問を抱いた人もいるだろう。自衛隊は言うまでもなく、治安を維持する側だ。

実は、これにはちゃんと理由がある。自衛隊というのは「戦闘力」という大きな力を保持しているので、そこから重要な防衛機密が漏れたり、力を背景に日本の国体を揺るがすような行為に出るといったことがないとは限らない。

そうしたことのなきよう、その管理や運用が正しく行なわれているかどうかを監視するのである。

パソコンと虫眼鏡、ノートと鉛筆
写真=iStock.com/BBuilder
※写真はイメージです

公安捜査員に選ばれるための3つの基準

公安警察は、先に述べたような国家の治安維持という重要な職務を担っているため、当然そこで働く人間、すなわち公安捜査員にも相応の適性が求められる。誰でも就けるわけではない。

「公安捜査員になりたい」と希望しても、先ほど触れた「監視対象」を見ればおわかりのように、危険と見なされる団体や組織と関係がある人物は真っ先に排除される。また、極端な政治的思想を持つ人間も弾かれる。

では、どんな人物が公安捜査員に適しているのか?

新人(捜査員)が選ばれる際の基準は、だいたい次の3つである。

①健全な愛国心があるかどうか

日本を愛する気持ちがあればいいというわけではなく、「健全な」というのがポイント。愛国心のあまり、他者や他国に対して差別的な主張をしたり、攻撃的になる者は向いていない。

②質素な生活に耐えられるかどうか

要するに「道徳心」や「健全な経済観念」が必要であるということ。

特に公安警察の中の外事部門では、予算の裁量の幅が大きく、企画を提出すればほぼ採用される。そういう強い権限が与えられている分、それを健全な形で行使する克己心が重要になってくる。

③家族を愛しているかどうか

これは、家族を愛する気持ちの延長線上にあるのが「愛国心」であるという考えに基づいている。

心構えや任務遂行のための行動の原則も、すべてここから始まりここへ行き着く。

私の場合も、おそらく①〜③の基準によって、公安捜査員に選ばれたのだろう。在職中の自分を振り返ってみても、テロやスパイ事件を阻止したい、テロリストやスパイを逮捕したいという動機を「健全に」備えていたと自負している。