日本が追いつく唯一の方法

――日本が再逆転できるチャンスはあるのでしょうか。

高市政権は、AI、造船、防衛、先端医療、サイバーセキュリティなど重点的に投資する対象の17分野を掲げています。しかし総花的で、対象が手広すぎます。日本の体力を考えても、すべてに注力するのはムリがあります。日本の強みは何か改めて整理するところからはじめなければならないでしょう。

もうひとつは、勝負する年代をいつ頃にするか。短期的に結果を求めるのではなく、長期的な視座を持つ必要があります。

勝負できるようになるまでは、中国の上前をはねればいい。一部の人には考えたくないことでしょうが、中国の方が進んでいる産業をキャッチアップするのです。かつて、東南アジアの国々が日本の産業をキャッチアップしていったように、です。

まずは中国の再生可能エネルギーはどうでしょうか。中国の再生可能エネルギーの割合は全電力の55%を超えています。

中国はあれだけの国土を持ちながら、石油という資源を持たない。いつアメリカと対立するかわからないというリスクも抱えている。そのために、中東以外にもいくつもの石油の輸入ルートをつくって、有事に備えていました。それでも中国はまだ安心できず、再生可能エネルギーの技術を確立していったのです。

まずは中国を師とすることから

詳細は拙書『おそるべき「中国一強」時代』にゆずりますが、太陽光発電、水力発電、原子力発電などあらゆる発電パターンをどん欲に試しています。もちろんそうした再生可能エネルギー開発のプロセスにも無数の敗者が横たわっています。

富坂聰『おそるべき「中国一強」時代』(小学館新書)
富坂聰『おそるべき「中国一強」時代』(小学館新書)

ただその結果、習近平政権では再生可能エネルギーで国内の電力需給体制を整え、大気汚染を回避しながら10年でGDPを倍増させたのです。火力発電に頼り続け、数十年前に建設した原発を再稼働させている日本との差は歴然です。

日本がやるべきは、この中国の先端的な再生可能エネルギー技術を、キャッチアップして、犠牲を払わずに、安価で手に入れることです。

昨年の高市首相の「台湾有事発言」以来、日中関係が冷え込んでいますが、中国企業も商売でやっています。ずっと扉を閉じ続けているわけにはいきません。日本は敵をつくらずに、国際社会で上手くやっていくことができる国ですし、これまでもそうしてやってきました。

かつて中国に自動車の技術を教えたドイツの自動車メーカーが、いまやEVの製造において中国企業に学んでいる時代です。まずは、そうした現実を直視するところからはじめる必要があるのです。

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