日銀と高市政権の間に生じている「矛盾」

現在、わが国の金融政策は、全体として緩和気味の状況が続いている。一方、ここへ来てイラン戦争の影響もあり、物価の上昇圧力は高まっている。円安傾向で輸入物価も上がりやすくなっており、日銀としてもインフレ対策を打つ必要性が鮮明化している。

そうした政策目標を達成するためには、金利を引き上げて金融政策を正常化することが必要になる。日銀としても政策変更が後手にならないよう、迅速に手を打って見せる必要があったとみられる。

ただ、一つの問題は、高市政権の積極財政政策との整合性を維持することが難しくなりつつあることだ。現在、政府は、電気・ガス補助金やガソリン補助金といった財政政策を動員してインフレを抑えようとしている。そうした政府の政策と、日銀の金融政策の正常化をどのように正当化するか、なかなか難しい問題になりつつある。

この財政・金融の政策に関するある種の矛盾について、海外投資家から強い疑問が提示されることもあるようだ。実際に、大手の投機筋が政策矛盾を突く格好で、円売り・ドル買いを進めているとの見方もある。それが、このところの円安傾向の鮮明化に繋がる要因の一つになっている。

23区中古マンションが1億円を超えた理由

今年2月末、イラン戦争が発生した。ホルムズ海峡の実質封鎖によりわが国の輸入する石油、液化天然ガス、ナフサなどは減少した。5月の貿易統計速報で、原油輸入量は前年同月比57.3%減の約472万キロリットル、ナフサなど揮発油の輸入量は同13.7%減の約182万キロリットルだった。

供給減による価格上昇と円安の掛け算で、5月の輸入物価は25.5%上昇した。企業はコスト増加分を、販売価格に転嫁する。それにより、消費者物価には追加的な押し上げ圧力がかかる恐れは高まる。

また、わが国の低金利が続くと、高い利益を求め不動産などのリスク資産に資金は流入する。その結果、一時、東京都23区内の中古マンションの平均価格は1億円を超えた。都心に近い場所での生活をあきらめざるを得なくなった人は多いだろう。