民間1社で「中国全体の1.8倍」も打ち上げた
2025年12月31日に公開された、宇宙関連情報サイトSpace.comの記事によれば、スペースXは2025年に165回のファルコン9軌道打ち上げを行い、そのうち123回がスターリンク関連だった。
一方、中国国家航天局の公式発表では、中国の2025年の打ち上げは過去最高の92回。スペースXは1社で中国全体の約1.8倍を打ち上げた計算になる。
この差は、大きな意味を持つ。衛星通信を社会基盤として使う時代には、打ち上げ頻度が補給能力になる。衛星を補充できるか。故障機を置き換えられるか。有事に軌道上の穴を埋められるか。月に届く力は国威を示すが、毎週飛ばす力は各国を依存させる。経済安全保障で効くのは、偉業ではなく、他国が頼らざるを得ない打ち上げインフラを握る力のほうだ。
「回収500回」と「失敗1回」の絶望的な差
スペースXと中国のもっとも大きな違いは、ロケットの再使用回数にある。2025年9月5日に公開されたSpace.comの記事によれば、同社は2025年中に、軌道級ロケットの回収と再使用をそれぞれ500回の節目に乗せた。
再使用の本質は、コスト削減を超えた運用革命にある。ロケットを一回限りの花火から、繰り返し使う輸送機械へ変える技術である。機体を回収すればデータが残る。データが残れば設計を変えられる。設計を変えれば、次の打ち上げで検証できる。この循環が速い企業は、危機時に相手より早く軌道上の空白を埋められる。
中国も追い上げている。2025年12月3日に配信されたロイターの記事によれば、中国の民間企業ランドスペース(LandSpace)の朱雀3号は、再使用ロケットの初回試験で制御着陸に失敗し、回収成功は2026年半ばを目指す段階にある。中国は挑戦段階、スペースXは運用段階にいる。この差は非常に大きい。

