投手の圧倒的な球速差

セは、各チームを代表する先発、救援投手24人で最高速が155km/hを超すのは7人。そのうち5人が外国人投手で、日本人では大勢(巨人)、松山晋也(ヤクルト)だけ。最速155km/h以上の先発投手はいなかった。

これに対して、パの先発、救援24人のうち155km/h超は13人、日本人投手も杉山一樹(ソフトバンク)、北山亘基、柳川大晟(ともに日本ハム)、椋木蓮(オリックス)、荘司康誠、藤平尚真(ともに楽天)、高橋光成、甲斐野央(ともに西武)と8人いる。また、先発の155km/h超も北山、荘司、高橋光に加え、エスピノーザ(オリックス)、ジャクソン、廣池康志郎(ともにロッテ)と5人いる。

端的に言えば、セとパでは「投手のスピード感」が違うのだ。ここに挙げた投手だけでなくパには立ち上がりから155km/h超のフォーシームを基本に投球を組み立てる先発がたくさんいる。技巧派中心のセの投手に慣れた打者は、最初の打席から圧倒されるのだ。

近年、さまざまな変化をする変化球が開発されたが、そうであっても最も被打率が低いのは150km/h超の速球であるとされる。「球速が速い」ことは、投手の「ポテンシャルが高い」こととほぼ同義語だといってよい。

2026年6月17日の交流戦最終日、甲子園球場にはためいていた交流戦の幟
筆者提供
2026年6月17日の交流戦最終日、甲子園球場にはためいていた交流戦の幟

DHを導入しても解決しない

筆者は両リーグの春季キャンプでの投手育成を見てきた。今やどの球団もラプソードやトラックマンを使ってデータで選手のパフォーマンスを確認しているが、パのほうがより球速、回転数を重視した「パワーピッチャー」の育成を重視しているように思える。

また選手獲得に際しても、セが大学や社会人出の完成度の高い投手を取ることが多いのに対し、パは粗削りでも速球に勢いがある高校生をとる傾向が強い。セとパでは、最も重要な指標の一つである「球速」で明確な差がついている。これが、交流戦の大差につながっているのではないだろうか。

セがDH制を導入することで、投手は投球のみに集中することができ、多少差は縮まるかもしれないが、より根本的な問題として両リーグの「育成方針」の差が勝敗に表れているとすれば、この状況は当面、変わりそうにない。

筆者は今年も交流戦を各地で観戦したが、セの本拠地球場ではファンから「ソフトバンクや日本ハムなんて勝てるはずないじゃん。投手が違うから」「パ・リーグが強いのは十分わかったから、もう交流戦はいいんじゃないか」といった声が聞こえた。

ワンサイドゲームが続く今の状況を変えるために、両リーグは選手育成法も含めた抜本的な改革に取り組むべきではないか。

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