親を捨てたいけど捨てられない

実は私も長年、母が苦手だった。過干渉で子どもを支配しようとする一方、子どもの気持ちには無関心。いつも母の顔色を伺って過ごしていた。実家を出てからは必要以上に関わらないようにしてきたが、5年前、母は65歳でくも膜下出血を発症。認知機能が低下し始めてからは、そうも言っていられなくなった。

2人のきょうだいは、長らく実家と疎遠になっている。母のために動けるのは私しかいない。日々の生活介助をヘルパーさんにお願いしながら、仕事を休み、子どもを預け、片道1時間かけて度々通院の介助や見守りに通った。

母は苦手だが、憎いわけではない。感謝の気持ちもある。直接親を毎日介護する人に比べ、責任を果たしていないんじゃないかという罪悪感もあった。でも――。関わりたくない、もう傷つきたくないという思いと、弱っていく母を見捨てられないという思いが交錯した。