特例法で旧宮家養子縁組か
取りまとめでは、内親王・女王殿下方の身分保持案について「皇室の歴史に整合的であり、公的活動の継続性などに鑑み、皇室典範を改正することとし、具体的な制度設計に進むべきと考える」と、前向きな姿勢を見せる。
一方、旧宮家系民間男性の養子縁組案に対しては、どうか。さまざまな条件を列挙し、いささか腰が引けている。
すなわち、“養子候補者”自身の自由意思を反映できる年齢制限(15歳以上という)、これまで養子が禁止されてきた経緯を踏まえて“養親”の範囲を限定すべきこと(内廷と秋篠宮家は除外)、養子本人には皇位継承資格を認めない(次世代の男子につなぐのが主な役割)など、「慎重に制度設計を行う」とする。さらに「一定の年数ごとに見直す」とも。
こちらは、恒久制度化のために必要な皇室典範の改正への言及がない。特例法による例外的な扱いを想定しているようだ。取りまとめに「皇室典範“等”」とあるのは特例法を視野に入れているためだろう。
養子縁組はもともと禁止事項
私なりに養子縁組案の問題点を列挙してみよう。
①親の代から国民でありながら、養子縁組で皇族となり、皇統を受け継ぐ立場になるのは、歴史上、まったく前例がない(宮内庁書陵部編纂『皇室制度史料 皇族一』など)。
②前例がないだけでなく、明治の皇室典範では養子縁組そのものが禁止されている(明治典範第42条)。禁止の理由は、恣意的・政治的な血統の混乱を避けるためだ(伊藤博文名義『皇室典範義解』明治22年[1889年])。
今の皇室典範でも“養子禁止”は踏襲されている(第9条)。
③事情があって皇籍を離れた人やその子孫は、皇籍に復帰したり、新たに皇籍を取得したりすることも、禁止されていた(明治の皇室典範増補、第6条。明治40年[1907年])。その趣旨は、今の皇室典範(第15条)にもちゃんと踏襲されている。
天皇・皇族とのご結婚による以外、皇族でない者が皇族になることは認められない。その理由は「皇位継承資格の純粋性(君臣の別)を保つため」とされた(法制局「皇室典範案に関する想定問答」昭和21年[1946年])。皇室の「聖域」性と尊厳を守る大切なルールだ。民間男性が心情的・生命的な結合=婚姻もなく、たやすく皇族になれたり、その子が天皇になれたりするのでは、皇室の位置づけが揺らいでしまう。
