「異例の家族」を強制するプラン
政府案のうち、未婚の女性皇族がご結婚後も皇族の身分を保持される案について、反対する党派はほぼない。例外として、日本維新の会の藤田文武共同代表が一時の感情で「いらない」と口走ったことがあり、別に日本保守党は「了とできない」とした。
天皇陛下ご自身が、敬宮殿下が末永く皇室にとどまって活躍してほしいというお気持ちを「強く持って」おられることが、すでに明らかなっている(今年の天皇誕生日に際しての記者会見など)。そのような状況の中で、この案に反対することが何を意味するか、普通の判断力があれば分かるはずだ。
しかし、政府案では内親王・女王の配偶者やお子さまを「国民」と位置づけようとしている。これは言語道断だ。
近代以降、“皇族の家族は皇族”、“国民の家族は国民”であって、「家族は同じ身分」という原則が、例外なく貫かれている。にもかかわらず、江戸時代の事例を持ち出して、内親王・女王殿下方に対してだけ、夫婦・親子で身分が異なる近代以降“前代未聞”の「異例の家族」を強制する制度案だ。
まさに時代錯誤と言うほかない。それでは、家族として絆や一体感が損なわれるのは、明らかだろう。
明治以降は結婚により同じ身分に
そもそも、憲法(第1章)が天皇・皇室に要請する非政治性や公正中立性と、憲法(第3章)が国民に保障する政治活動・宗教活躍・経済活動などの自由とが、1つの家族の中で両立できるのか。
たとえば敬宮殿下のご結婚相手やお子さまが国民なら、「内廷」(天皇ご一家と上皇上皇后両陛下により構成される)という皇室の一番中枢に、民間人が交じる可能性が生まれる。こんなことは論外だろう。
ある新聞では、内親王・女王殿下方の配偶者が同じ身分の皇族になることに難色を示した。「歴史上、皇室と特別な由緒を持たない民間人男性が皇族となった先例はない」(産経新聞6月5日)と。
しかし前近代では、男女を問わずご結婚による身分の変更は、そもそもなかった。だから男女とも「先例はない」のが当たり前だ。
明治の皇室典範以来、「皇室と特別な由緒を持たない民間人」女性が皇族とのご結婚を介して、初めて“同じ皇族の身分”を認められることになった。今の皇后陛下もほかの妃殿下方も、もとは「特別な由緒を持たない民間人」でいらっしゃる。
しかし、そのことに違和感を覚える国民は誰もいない。先の記事を書いた記者も同じだろう。
ならば、制度を変更して今後は内親王・女王殿下方がご結婚後も皇室にとどまられるのであれば、その配偶者が男性皇族の場合と同じく皇族になられるのは、当然だ。
この点、取りまとめでは「必要があると認められるときは、所要の措置が講じられる旨の検討事項を付則に設けることが適切」などとした。配偶者やお子さまが皇族とされる余地を残した。
