ネトフリ急成長の理由

ここからは私自身の分析である。Netflixの地域別売上をみると、2011年から北米外への進出が加速、2019年には海外市場が北米売上を凌駕するほどになった。同社が動画配信業界の「台風の目」となり、2020年代前半はDisney+にHBO、Paramountらも巻き込み、大手メディア・コングロマリットのなかでの猛烈な視聴者獲得競争が行われてきた。

だが2020~22年で急速に追い上げたDisney+はボブ・チャペックの退任を機に失速、赤字覚悟の世界急速展開からサステイナブルな漸増戦略へと切り替えたのを機に、Netflixの売上増カーブは2023~25年でむしろさらに跳ね上がっている。

【図表1】Netflix地域別売上

成熟しているはずの北米で4割強のシェアをもち、そこもまた今も成長を続けている。EMEA(欧州・中東・アフリカ)も南米もアジアも伸びており、韓国や日本などシェアを伸ばしているアジアは全社シェアでいえばいまだ12%だ(2020年の9%からは徐々に伸ばしている)。

この広い裾野すそのと成長ポテンシャルの大きな地域にも等分に足をかけている点がNetflixが他SVODに先行している部分でもある。売上は北米4割強だが、登録者数でいえばすでに3割弱までおとしてきており、3.25億人の登録アカウントの2/3は「海外」なのである。

広告付きプランなど単価も下げて、新興国には浸透スピードを重視しており、それが2023年以降も成長スピードを加速させている背景にはある。MAX(HBO)やDisney+の北米比率は4割、Paramountで7割、HuluやPeacockはほぼ北米向けサービスとなっている。

Googleよりすごい“海外7割”

欧州と違って北米企業はグローバルにみえても北米というホームマーケットに依存している。あれだけ世界中に広がるGoogle、Apple、Facebook(Meta)にしても北米外の“海外比率”は5~6割である。今のNetflixの“海外比率7割”というのは、制作も流通も含めて「ローカライズ」に重きをおいている同社ならではの実績であり、そうした新興領域に裾野を広げながらも利益率はこの10年で10→30%へとむしろ上昇しているのも盤石の極みである。

Netflixトップがいま何を考えているのか、今後どういう方向にかじ取りをしていくかは全世界の映像関係者が一挙手一投足を見逃すまいと注視している話なのだ。そのポジションにいるグレッグ氏が渡日してこのような場で日本市場に対する期待についてメディアやジャーナリストとインタラクティブにセッションをし、日本市場を重要視していると直接メッセージを出している事実は、素直に好意的に受け止めてよい話だろう。

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