次に狙う市場は「縦型」「ゲーム」
Netflixによるさまざまな実験のなかには「縦型ビデオ」や「ゲーム」がある。
縦型ビデオは現在米・英など9カ国で展開されている(日本では未リリース)。
現在中国のMicroDrama(ショートドラマ)が隆盛を極めているのは、それが検閲・監修の対象になっていないという側面もあるだろう。新領域がゆえに自由につくれているものが中国へ、そして米国にも進出している。
だがNetflixがショートでやろうとしているのはその世界線ではない。かといってSNSのショートフォーム動画なのかというと、グレッグ氏は「我々はTiktokやInstagramの代わりになるつもりはありません」と言う。
「一部は現在のコンテンツを縦型に切り取って提示するものになる。その中で、縦型のために製作され、そのフォーマットでしか利用できない作品も作るつもりだ」と話す。
ゲームも同様である。コンソールゲーム機のハイグラフィックに比べると、まだゲームそのもののクオリティとしては、「Netflixゲーム」は圧倒的なビハインドにある。
むしろNetflixゲームは、スマホをコントローラーにして、すぐに画面で立ち上がるインタラクティブなゲームだ。今年の夏にFIFAのゲームをリリースする予定だが、いわゆるプレイの仕方を長い時間かけて覚えていくようなものではない。立ち上げて5分ですぐに覚えるような類いのものだ。
ただの動画配信会社では終わらない
「こんな世界だったら面白いのでは?」とグレッグ氏が提案したアイデアがある。それは確かにNetflixゲームのフォーマットならではの斬新なものだった。
「アメリカとカナダで女子ワールドカップがあるときに、その試合前に(シミュレーションのように)戦い合わせてみたり、試合結果が気に入らない時にはReplay(再プレイ)するようなゲームプレイができたら、どうでしょう」
リアルなイベントそのものをリプレイやシミュレーションで何度も反芻し、期待を高め、繰り返し味わう、というのはゲームだけが提供できる付加価値だろう。
そしてこれは出来合いのものを提供するだけではなく、クリエイティブ・コミュニティに解放し、ゲームを創ってもらう、ということも想定している、という。まさにROBLOXをターゲットにした話だ。こうした発想からも、NetflixはプレミアムなSVODメディアとしてだけではなく、隣接する巨大なエンタメプラットフォームもターゲットにしていると感じた。
Netflixは現在3億2500万のアカウント登録で、周辺視聴人口も含めると10億人程度が視聴していると想定される。Netflixが見ている先には、他のSVODメディアというよりも25億人のYouTube、20億人のTikTok、4億人のROBLOXといった別のインタラクティブなメディアも含まれており、とにかく「Well suited for the phone(スマホ画面にとってふさわしいもの)」を探っている、というのが現段階のNetflixの視野だ。

