これからの動画配信と映画の関係
グレッグ氏は「もちろん今後もハリウッドは最高のプロダクションハウスではある。いまも多くのプロダクションがLA(ロサンゼルス)に存在しているのだから」と言うが、あくまでハリウッドはハリウッドとして一つの特色を出せるスタジオとして扱っている。
脚本やその世界を再現していくにあたって【What the best for the show, we should be the support to the content(そのショー、コンテンツにとってベストなものは何か。そしてその選択を支持する)】というのがNetflixのスタンスなのだ。
中立ポジションの世界的SVOD(定額制動画配信)プラットフォームにとっては、コロナ以降に強まっていった「映画興行<動画配信」という傾向は、本音でいえば追い風なはずだ。だがそれは決してポジティブなばかりではない。創り手が優れたコンテンツをつくりつづけられるかどうかという創作環境を改善していくためには、ある意味、映画側と手をとりあって支援もしていかなければならない、という懸念も残されているように私は感じた。
「人々はリアルの体験を求めている」
今回のハイライトともいえるのは「映画興行的(Theatrical)」なものとのNetflixの距離だ。
配信大手の作品が増えれば増えるほどに、映画の興行的な市場は失われるという従来の映像事業者たちからの危機感だ。これはカンヌ映画祭2026でも感じたことだ。
Disneyが『ブラック・ウィドウ』(2021)で、主演女優スカーレット・ヨハンソンとの十分な合意なく、Disney+配信を優先して映画興行収入を毀損させた事件が脳裏をよぎる(最終的にディズニーがヨハンソン側へ4000万ドル以上の追加報酬を支払うことで合意)。
「People likes real experience、that’s good thing(人々はリアルの体験を求めている、それ自体は良い事だ)」とグレッグ氏は言う。
Netflixはダラス、フィラデルフィアで「Netflix House」を運営している。そこでは『イカゲーム』的体験など、ミニテーマパークのようなサービスを提供している。来年は3拠点目となるラスベガスでオープン予定だ。
また、Netflixによる『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』は2025年6月に、配信と同時に映画上映もされている。(これは米国の一部地域でゴールデングローブ賞やアカデミー賞などのノミネート資格を得るための限定的な劇場上映だったとも言われる)
パートナーがそれを求めるのであれば、それも許容するケースもある。それもこれも【What the best for the show?(そのショーにとってベストなものか)】というところに着地する、ということだ。


