ネトフリにおけるAIの使い方
読者が最も気になるだろう、Netflix×AIの領域についてグレッグ氏は「これらの3つの領域でAIが使用されていくだろう」と整理する。
1. ユーザー体験
2. プロダクションの生産性向上
3. 広告
問題になってくるのは、2のコンテンツ制作である。
どのくらいの割合がAIに代替されるか、という話だ。人が作るものを代替してしまうのか否か、雇用が消失するものであるか否かということが今世界で問われている。
だが2についてグレッグ氏が言及するのは「周縁的なクリエイティブ作業」だ。
Reshooting(ロケ撮影しなおし)や面倒な背景作りこみ作業などの代替、そして基本的にはクリエイティブの初期作業であるアイデア出しなどに使われている。
グレッグ氏は「よいイメージ・映像そのものは決してテクノロジーから出てくるものではない」と断言する。そして何より「テクノロジーの歴史的な展開をみている限り、よりよいテクノロジーがコスト削減に結びついたことはない」と。
むしろ技術は新たな次元での試行錯誤を深めさせ、より良いものを作ろうとする人間の判断自身をアップグレードさせるのだ。よしんばコスト削減できたとしても、「その部分をよりコストの部分にまわすことになる。単純に制作コストを下げるものにはならないだろう」とグレッグ氏は言う。
「イクサガミ」に使われていた最新技術
「(AIはときに)ローカルな映像をグローバルなものにしていく助力にもなる。『イクサガミ(Last Samurai Standing)』はその成功例で、映像にリップシンクで吹き替えをいれていったところ、日本の実写でありながらグローバルの視聴量トップ10リストに入った。イクサガミのグローバル成功にはAI技術も効いていた」という(もちろん俳優陣の許諾済の上でのAI利用)。
ちなみにNetflixが独自のAIを作っているというわけではない。オープンソースモデルやフロンティアモデルを使って、自社の膨大なデータをかけあわせて調整して開発している。
※NetflixのAI利用の5原則を下記のように公開している〈https://partnerhelp.netflixstudios.com/hc/en-us/articles/43393929218323-Using-Generative-AI-in-Content-Production〉
Netflixはパートナーに対し、クリエイティブなワークフローでGenAIを活用する前に、以下の指導原則を検討することを求めています。
・プロダクトが、所有権のない素材や著作権で保護された素材の識別可能な特徴を複製または実質的に再作成しておらず、いかなる著作権保護された著作物も侵害していないこと。
・使用される生成ツールが、制作データのインプット(入力)やアウトプット(出力)を保存、再利用、またはトレーニング(学習)に利用しないこと。
・可能な限り、インプットを保護するためにエンタープライズ向けにセキュリティが確保された環境で生成ツールが使用されていること。
・生成された素材が一時的なものであり、最終的な納品物の一部ではないこと。
・同意なしに、タレントのパフォーマンスの代替や新しいパフォーマンスの生成、または労働組合の適用対象となる業務の代替にGenAIが使用されていないこと。


