南シナ海の出来事は対岸の火事ではない

南シナ海と東シナ海とでは、争点は異なる。南シナ海では人工島の造成や航行の自由が、東シナ海では資源開発やEEZの境界が、それぞれ焦点となってきた。

だが両海域には、共通する構造がある。中国は南シナ海では人工島を、東シナ海ではガス田施設を拠点として築いたうえで、その後も船舶や航空機の活動を絶やさない。施設をつくること自体より、それを足場に活動を続けることで存在感を維持する――この点が、目的の異なる二つの海域に通じている。

今回のオランダ艦の事案は、遠い南シナ海の出来事として片付けられるものではない。そこには、中国が海上で活動を絶やさず、自らの主張を既成事実として支えていく手法が表れている。そして同じことは、日本の足元でも起きている。

東シナ海では、海上自衛隊と中国海軍が同じ海空域で行動する機会が少なくない。双方が一定の距離を保ちながら監視と追尾を続け、偶発的な衝突を避けている。ガス田施設をめぐっては補給船や作業船の往来が続き、尖閣諸島周辺では中国海警局の船の活動に対して海上保安庁が警戒監視にあたる。大きな危機が起きていなくても、海上では日々、こうした対応が重ねられている。

だからこそ日本に求められるのは、一時的な示威行動ではなく、海域の状況を継続して把握し続ける力である。海上保安庁による監視、防衛省・自衛隊による情報収集、資源開発施設や船舶の動向確認を絶やさないこと。そして資源開発やEEZに関する立場を、一貫して示し続けること。それが、海洋権益を守るうえでの土台となる。

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