体格や持病も考慮し、総合的に判断
では、法医学では、どのようにして死後経過時間を出しているのでしょうか。
具体的には、先述したご遺体の直腸内温度、死後硬直の程度、眼球角膜の混濁程度、死斑の色調の消退程度などを総合的に勘案して、死後経過時間を判断します。
解剖した場合は諸臓器の硬度や胃粘膜の酵素による融解程度などが判断材料となります。これらは死後にしか現れない現象であることから「死体現象」と呼ばれ、どの法医学の教科書にも載っているものです。
1時間たつごとに0.83度ずつ下がる
たとえば、直腸内温度は通常37.2度で、死後1時間たつごとに0.83度ずつ下がっていき、外気温に近づきます。しかし、病気によっては42度の高体温で亡くなる人もいますので、死因と合わせて死後経過時間を推定します。
死斑は死後12時間ぐらいまでなら、指で皮膚を押すと消えます。12時間以上経つと血液が血管に固着し、押しても消えなくなります。そのため、6時間ぐらいまでの間なら、仰向けのご遺体をうつ伏せにすると、死斑も胸や腹部に移動します。6〜10時間の間なら、ご遺体をひっくり返すと両面に死斑が出ます。
発見時にうつ伏せだったご遺体を仰向けにして死斑が前面から消えたら、死後6時間以内、両方に出たら死後10時間ぐらい、死斑が移動しなければ死後12時間以上経っている、と判断します。
