姥捨山があるなら、今すぐ行きたい

「姨捨山」と聞くと、貧しい家の息子が食い扶持を減らすために、嫌がる親を泣く泣く、山奥に捨てに行く話だと思っていませんか。

『楢山節考』(深沢七郎)を読むと、老いた母が「自らすすんで」山に行く様子が描かれ、物語に深みを与えています。石でわざと自分の歯をくだき、「私はこれでもう食べられない。だから山に連れて行っておくれ」と、本人から子に言い出すのです。家族のために自分から身を引き、自ら「死」を望んでいます。

自宅で一人で座ってストレスを感じている女性
写真=iStock.com/Kobus Louw
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認知症の人は「消えてしまいたい」と言います。「姨捨山があるなら行きたい」とも。