チームの器はリーダーの器以上にならない

こうした「異質な他者との関わり」において大切になるのが、器という考え方です。器が小さければ、自分と異なる他者を前にしたとき防衛的になり、相手を遠ざけてしまいます。逆に器が大きければ、違いを受け止め、対話を重ね、関係を深めていくことができます。

会社のミーティング
写真=iStock.com/JGalione
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多様な価値観を持つ部下、世代の異なる若手、立場の違うステークホルダーなど、私たちは組織で働く中で、日々「異質な他者」と向き合うことになります。彼らと真摯に向き合える「器の大きさ」を持つことが、良い組織づくりにおいて不可欠であり、それが結果として豊かな人間関係(人生の豊かさ)を育むことになります。

「組織はトップの器以上にならない」と言われるように、リーダーの器は、率いるチームのあり方に大きな影響を与えます。

もしリーダーが感情的になれば、チーム全体が緊張感に包まれます。メンバーが「今日のリーダーの機嫌はどうだろうか」と顔色をうかがうようになると、本来の業務に注がれるべきエネルギーが、そちらに奪われてしまいます。

またリーダーが防衛的になれば、メンバーは本音を言えなくなります。批判や反対意見が「攻撃」として受け取られる場では、誰もリスクを取って発言しません。リーダーの視野や許容量が、そのままチームの可能性の限界になってしまうのです。

逆に、リーダーの感情面が安定していれば、メンバーは安心して挑戦できます。リーダーが受容的な態度であれば、異なる意見も率直に出せます。リーダーの視野が広ければ、議論の質も変わり、チームとしての創発も生まれやすくなります。

パフォーマンスが伸びない要因はどこにある?

ここで注意したいのは、リーダーの「能力」と「器」は異なるという点です。エグゼクティブサーチの専門家・小野壮彦氏は『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』(フォレスト出版)の中で、人を捉えるときの4つの階層を提示しています(図表2)。

【図表2】人を捉えるときの4階層モデル
組織の器』p.45より

地上1階が「経験・知識・スキル」、地下1階が「コンピテンシー」、地下2階が「ポテンシャル(器)」、地下3階が「ソース・オブ・エナジー」です。地上に出ているものほど見えやすく変わりやすい一方、地下に潜るほど見えにくく変わりにくい性質があります。

目に見える知識やスキルは「コップに注がれた水」のような中身であり、それを支える「器」は地下深くにあって見えにくいものです。そして、経験・知識・スキルを十分に活かすには、それを支える器が必要になります。

言い換えれば、どれほど高い能力・スキルを持っていても、器が小さければ、それが効果的な形で発揮されません。

チームのパフォーマンスが伸び悩むとき、その要因は能力やスキルの不足ではなく、リーダー自身の器の大きさにあるかもしれません。この視点に立ち、自らの器と向き合うことが、リーダー自身が変わり、ひいてはチーム全体が変わっていくための出発点になります。