一流企業のような徹底した合理主義

現代のトクリュウが主導する特殊詐欺や投資・ロマンス詐欺は、もはや単なる犯罪の域を超え、卓越した「違法企業経営」そのものである。彼らが最も重視するのは、一時的な暴利ではなく、「事業継続性」(ゴーイング・コンサーン)の担保だ。

失敗や摘発というリスクを織り込み、組織を機能ごとに細分化させ、豊富な資金源をR&D(研究開発)や新たなインフラ構築へ再投資するサイクルを確立している。

マニュアルが日々磨かれている点や、違法インターネットカジノのサイト構成、あるいはSNS投資詐欺に使われる投資画面などは、まさに「研究開発」のなせる業である。その徹底した合理主義は、企業の経営戦略と酷似している。

さらに恐ろしいことに、この犯罪ビジネスの「グローバル企業化」は、すでに止まらない領域に達している。

「日本人」「カンボジア」はもう古い

かつて拠点として注目されたフィリピンやカンボジアだけでなく、今やマレーシアや中国へと拠点は分散・多国籍化している。さらに、ターゲットの拡大も著しい。近年カンボジアで摘発された拠点では、現地で働く韓国人の若者が「かけ子」として発見された。これは、言語の壁を越えて新たな「市場」を開拓する、彼らの驚異的な海外展開力と人材調達力を如実に物語っている。

法令遵守の精神を完全に欠いたトクリュウたちが、ビジネスとしての「サステナビリティ」(持続可能性)を究極的に追求している点こそが、最大の脅威だ。

時代や技術の変化に即応し、組織の代謝を繰り返すこのシステムは、一つの拠点を潰しても、形を変えて増殖を続ける。「犯罪の力」がある限り、トクリュウたちのビジネスが今後も世界を巻き込みながら進化し続けてしまう可能性は、絶望的なほど高い。その震源はこの日本にある。

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