今後も美容転職が絶えないと予想できる

前述の藤白りり先生は「直美」を選択した理由を「保険医としての働き方は自分には合わない」と動画で主張している。

診療内容面としては「(現状の医療機関にありがちな)寝たきり高齢者をダラダラ延命するのに疑問」「本人が努力しない生活習慣病患者が多すぎ」との考えを示し、職場環境面としては「夜勤や残業が多すぎる、自分は体力がない」「保険診療医は努力して腕を上げても給料変わらない」と現状分析している。

さらに、美容医療に関しては「頑張ったら自分の売上に反映される」「SNS発信も歓迎される」と好意的に述べている。これら動画はたちまち共有され、「(命を救うべき)医師としての使命感が足りない」「国立大卒なのに税金の無駄」「専門医も持っていない医師が患者にメスを入れるな」など厳しい指摘があった一方で、「保険診療の問題点を言語化した」と擁護する声もあった。

厚労省は長年、外科医・救急医・地方医師の不足を大きな課題だと認識しているが、不足する分野の医師の待遇改善にはあまり尽力していないように見える。

病院スタッフが患者を搬送
写真=iStock.com/Sam Edwards
※写真はイメージです

2024年度からは「医師の働き方改革」として「時間外労働上限」が実施されたものの、多くの病院では「上限以上は自己研鑽(という名のサービス残業)」となった。「労働時間不変なのに収入減」と待遇改悪となった外科医も多い。そういう現状を見て進路として回避した藤白りり先生のような若手医師は多いだろう。

さらに2025年度からは、女医率増加が確実視されている。2018年の「東京医大の女性入試減点発覚」とその是正によって、2018年度以降は「性別による入試操作」が不可能になり、医大生女性率が急増しているからである。

女医は、出産を控えてワークライフバランスを重視し、多忙な診療科や地方勤務を敬遠する傾向が強く、男性よりも美容医療への親和性が高い。

厚労省は直美対策として「院長要件の厳格化」「医師多数地域での開業制限」などを検討しているようだが、根本的な保険診療医師の待遇などが改善されない以上、「今後も大物医師の美容や自由診療への参入が続く」と考える医師は筆者だけではない。

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