「断食」で疲れ知らずの体に

ブドウ糖代謝では、ブドウ糖代謝から解糖系・クエン酸回路・電子伝達系の3つの代謝経路を利用して、ブドウ糖1分子からアデノシン三リン酸という物質が38分子も生まれます。かなり効率的なエネルギー転換だといえます。ところが、「16時間断食」のようにかなりの空腹時間が作られたことによって、ブドウ糖がなくなると、体は飢餓状態に対する危機を感じ始めます。

すると、体内で、「ケトン体代謝」が始まるのです。「ケトン体」とは何かというと、「アセト酢酸」「β-ヒドロキシ酪酸」「アセトン」など、脂肪酸をもとにして生成された代替エネルギー源です。最後に何かを食べてから12時間ぐらい経過すると、血液や肝臓に蓄えられたブドウ糖は完全に消費されてなくなってしまいます。

お腹が気になる日本人女性
写真=iStock.com/mapo
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そうなってしまうと細胞は、ブドウ糖の代わりに中性脂肪や筋肉のタンパク質をケトン体に替えて、代謝のエネルギー源として使っていくのです。このメタボリック・スイッチの効用も数多くあります。

①脳機能の向上:ケトン体は脳の神経細胞を保護し、記憶力や認知機能を高めるBDNF(脳由来神経栄養因子)を増加させます。
②エネルギー効率の向上:脂肪は糖よりも効率よくエネルギーを供給でき、長時間の活動に適しています。
③免疫機能の強化:ケトン体には抗炎症作用があり、感染症リスクを低下させる可能性があります。

血液も肌もきれいになる老化ストップ法

つまり、メタボリック・スイッチが入るということは、「満腹」の時代の今、体にとってはとても望ましいことと言えるようです。ダイエットの経験がある方はおわかりだと思いますが、中性脂肪が代替エネルギー源として使われるということは、すなわち「脂肪が落ちていく」ということです。

まさにそう考えていただいてよく、ケトン体代謝が始まると、中性脂肪やコレステロールが使われて、その数値は改善します。筋肉内のタンパク質も落ちてしまうのはちょっと問題(この問題については後述します)なのですが、それ以外では、ダイエットとしても健康法としてもいいことずくめなのです。

ケトン体代謝が行なわれることによって、古くなった細胞成分が分解されて、抗酸化作用が発揮され、活性酸素が減少します。この流れは、体の酸化を改善するので、老化を抑制します。傷ついた細胞のDNAが修復されて、病気の予防力も強化されていくのです。

メタボリック・スイッチがオンになって体内に起きる現象をまとめておきます。

◎血液…血糖、インスリン、総コレステロール、炎症マーカー、酸化ストレスマーカーの低下
◎心臓…心拍数の減少、血圧の低下
◎肝臓…インスリン抵抗性の改善
◎脂肪組織…脂肪の減少、体重の減少
◎脳…副交感神経が優位になる、集中力の増加、認知機能の改善
◎全身で炎症反応の減少、皮膚のアンチエイジング、アトピー性皮膚炎の改善
◎腸内環境の改善