「格下の日本」に負けた屈辱の記憶

この驕りに決定的な打撃を与えたのが、1894年の日清戦争での日本への敗北、そして「下関条約」という屈辱的な不平等条約の締結だった。今でも多くの中国人が、日清戦争での敗北こそが中国人に真の危機意識を植えつけたと指摘する。

下関講和談判 永地秀太筆
下関講和談判 永地秀太筆(画像=明治神宮崇敬会/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

当時、清朝の官僚や知識人にとって、中国より文明レベルがはるかに低いと捉えていた日本に敗北することは全く想定しておらず、この敗北は衝撃をはるかに超える出来事だった。これまで「蛮族」と見下していた存在に自らが屈服させられたことは、民族的自尊心に対する深刻な打撃となった。

文学者の郭沫若かくまつじゃくは自伝で、かつて日本留学時に経験したことについて次のような記述を残している。

「日本人よ、日本人よ、恩知らずの日本人よ。中国が一体どこが君たちより下手なのか、君たちがこのように僕たちを蔑視するのか。君たちは支那人という三文字を書くとき、すでに君たちの極端な悪意を表現する。君たちは支の字を言う時は鼻をしかめ、君たちが僕を話す時は鼻声を長く伸ばす」

蔑称「小日本」に隠された意味

日清戦争の勝利以後、日本人は中国人を過去のように「清国人」と呼ばず、卑下する意味で「支那人」と呼び始めた。中国人としては到底受け入れられない侮辱だった。

李虎男『中国は覇権を握るのか』(光文社新書)
李虎男『中国は覇権を握るのか』(光文社新書)

郭沫若は、かつて中国が日本に文化などすべてを伝えたのに、日本が力を持つと恩知らずにも中国人を支那人と呼び、無視し、侮辱することに憤っているのだ。

この屈辱の記憶は現代の中日関係にも深い影を落としている。中国の愛国主義教育において日清戦争は重要な位置を占め、「小日本」という蔑称に込められた複雑な感情は、かつて見下していた相手に敗れた屈辱感の裏返しでもある。

この歴史的経緯が、現代の中国の対日感情、そして国際社会における中国の振る舞いに、深く影響を与えていることは疑いようがない。

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