薬を飲むだけの治療では不十分

逆流性食道炎の急な痛みには、水を一気に勢いよく飲むとよいという説があります。水を飲むことで食道に留まっている胃酸を洗い流し、胃の中の酸も薄まるためです。ただし、水の飲み過ぎは胃を膨らませ、かえって逆流を助長する可能性もありますし、これは一時しのぎの方法に過ぎません。

逆流性食道炎の治療の中心は、胃酸分泌を抑える薬であるネキシウムなどの「プロトンポンプ阻害薬」、タケキャブなどの「カリウム競合型アシッドブロッカー」を飲むこと。こうした薬を服用すれば多くの人は症状が改善しますが、再発を繰り返すケースも少なくありません。理由は単純で、薬によって胃酸の量を減らすことができても、「逆流しやすい状態そのもの」は変えられないからです。

先に述べたように胃酸が逆流する背景には、食べ過ぎや飲酒、肥満といった生活習慣が関与しています。生活習慣を変えなければ、薬をやめると症状が戻るパターンに陥りがちです。逆流性食道炎は「薬で治す病気」というよりも、「生活を整えながらコントロールする病気」と考えたほうがいいでしょう。

薬は有用ですが、一方で副作用もありますし、お金もかかります。逆流性食道炎にお悩みの方には生活習慣の改善をおすすめします。

つらい症状に効く3つの生活習慣

そこで、国内外のガイドラインから逆流性食道炎に効く3つの生活習慣を紹介します。

①体重を適正に保つ

ガイドラインでも強く推奨されている項目です。体重が増えると腹部への圧力が高まり、胃の内容物が食道へ押し上げられやすくなります。過体重や肥満の人では、減量によって症状が改善することは複数の研究で示されています。大幅な減量でなくても、無理のない範囲で体重を減らすことが、症状改善と再発予防につながります。

バスルームにある体重計と巻き尺
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※写真はイメージです
②食後すぐに横にならない

食事中から食後にかけて、座るか立った状態を保つようにしましょう。ガイドラインでも、就寝前2~3時間の食事を避けることがすすめられています。重力が働いている間は、胃の内容物が自然と逆流せず、とどまりやすくなります。逆に、食べてすぐ横になると、その助けが失われ、逆流が起きやすくなります。「食べてすぐ寝る」習慣がある人は、まずここから見直すのが現実的です。

③寝るときは上半身を少し高くする

夜間の逆流対策として有効です。枕を重ねるより、上半身全体をなだらかに高くするのがポイント。また、「左側を下にして寝る」と逆流が起きにくいという報告もあります。胃の構造上、左側臥位では胃酸が食道側に流れにくくなるためです。