新興国には新たなインフラが必要
3つめの理由は、これから新興国のインフラ整備が進むこと。インフラ整備を必要としているのは先進国ばかりではない。新興国がさらに発展していくためにもインフラ整備が必要なのだ。
新興国の中で今後の成長が最も期待されているのはインドだろう。インドの人口は2023年に中国を抜いて世界1位となった。GDPは世界第5位で、第4位の日本に迫る勢いだ。
インドは2030年までにGDP10兆ドルの経済大国になることを目指している。今後、莫大な投資が行われるわけで、インフラ整備に関連する企業にとって多くのビジネスチャンスがある。
インド以外のアジアの国々でも社会資本建設は進むし、経済成長と人口増加が著しいアフリカでもインフラ投資が拡大する。
インフラの老朽化、巨大地震の脅威、新興国の経済成長などを背景に、インフラ整備に関連した企業は今後大きく成長するだろう。それゆえに「インフラ整備」は株式投資としても大きなテーマであり、大手ゼネコンや大手建設機械メーカーはもちろん、無名な世界シェアトップ企業の活躍も期待される。
本稿ではこうした企業の中から世界シェアトップを誇る有望な日本企業3社を紹介する。
音の出ない杭打機で世界シェア9割の技研製作所
1社目は、高知県に本社を置く技研製作所(6289)だ。建設機械メーカーである同社が製造する「油圧式杭圧入引抜機(サイレントパイラー)」は世界シェア9割を超す。
従来の杭打ち機には騒音・振動が付きもので、トラブルのもとになることが多かったが、サイレントパイラーは油圧で杭を地中に押し込むので騒音・振動がほとんどない。静かに(サイレント)、杭(パイル)を押し込むことからサイレントパイラーとの名称になっている。同社では杭を「打つ」と言わず、「圧入する」という。
杭には用途や使用環境によってさまざまな形状や材質タイプがあり、構造物の基礎工事に使用される。杭を隙間なく並べて打てば、土砂を止める擁壁や水をせき止める「止水壁」といった土木構造物をつくることも可能だ。
あらゆる場所で施工が可能
通常の杭打ち工事では、杭打ち機械本体を自重によって安定させる必要があるため、機械は大型でなくてはならない。打撃方式の杭打ち機械で100トンの力で杭を打つなら、100トン以上の機械重量がないと機体は浮き上がってしまう。機械が巨大化すれば、作業用の広いスペースを確保したり足場を築く必要があり、工事を開始するまでに多くの時間と費用を要する。
それに対して、サイレントパイラーは地盤の引抜抵抗力を利用するので、100トンに満たない小型機械でも実質的に100トンの力を発揮できる。
サイズがコンパクトなため、従来は施工が困難だった道路脇、運行中の列車の横、傾斜地、橋の下などでも安全に工事を行える。


