今利上げすることの危険性

では逆に、今の円安を止めようと日銀が大幅に利上げをしたら、確かに140円ぐらいの円高になるかもしれません。しかし、それで国内の投資が腰折れをしてしまったら、それこそ“日本失望”の円安に後戻りしてしまいます。したがって日銀が今の円安を許容して利上げせずにいてくれれば、国内の投資が拡大し、結果として実質マイナス金利から脱出することができます。

目先の円安を恐れて、日銀が利上げを急げば、長期的な円売りを招いてしまいます。目先の円安に耐えて、国内の投資を拡大すると、実質マイナス金利を脱する期待で円高への転換が見えてきます。短期と長期のアプローチが捻じれていることが難しいところです。円ドル相場は、バブル時までが150円前後でした。

バブルが崩壊して日本経済が弱体化し、本来は円安に向かうはずだったのに、企業は巨額の負債を抱え、負債を返済するため、せっかく手に入れた海外資産を投げ売って資金を国内に還流させました。しかし当時の日銀は「金利を一気に下げると、またバブル再燃になるのが怖い」と、ゆっくり金利を下げていった結果、110円平均という円高をもたらしてしまったのです。

日本地図と右肩下がりの赤い矢印
写真=iStock.com/bgblue
※写真はイメージです

本当に適正な円の価値は「150円」

これはオーバーシュートした結果の円高であり、企業はつらさに耐えきれず、リストラとコストカットに走った。これが日本経済の低迷につながったのです。日本経済にとって、現状のような円安の水準が、内需が弱い現状では安定的状態と言えましょう。

会田卓司『サナエノミクス 高市成長戦略』(ワック)
会田卓司『サナエノミクス 高市成長戦略』(ワック)

ここから160円、170円と円安が加速するのは問題ですが、現在の150円くらいの一定水準で経済がロックイン(固定化)し動けば、インフレ率への影響も薄れるでしょう。したがって、内需が本当に強くなるまで150円程度の水準で安定してくれて、内需が強くなった時点から緩やかに円高に振れるのがベストだと考えています。

極度の通貨の売りは、供給能力の棄損きそんのリスクが引き金となります。投資のサイクルが上向き続け、将来の供給能力の拡大の期待があれば、極度の円売りは起きません。日銀が拙速な利上げをし、投資サイクルが腰折れてしまうと、円安のリスクは逆に大きくなってしまうでしょう。

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