病気に直結する果糖は「老化糖」
糖質はエネルギー源になりますが、果糖だけは全身のエネルギー源にはならず、代わりに体内で様々な反応を起こします。
その反応の多くは、古代においては冬に備えるための生存に適した反応だったはずなのですが、飽食の現代においては過剰で生存にネガティブな影響を与えるものです。糖質老化を進める老化糖以外の何ものでもないのです。
果糖は、糖質老化の元凶であるAGEsをブドウ糖の数倍のスピードで発生させます[Am J Clin Nutr 1993; 58 (5 Suppl):779S-787S]。
世界的に心不全が急増している
近年、世界的に心不全の患者さんが著しく増えています。これを「心不全パンデミック」と呼ぶ専門家もいるほどです[JMA J 2019; 2: 103-112][iScience 2023; 27: 108641]。
原因として高齢化や肥満、糖尿病の増加が挙げられていますが、最近、新たな“容疑者”して注目されているのがこの「果糖の摂りすぎ」です[Diabetes 2016; 65: 3521-3528]。
果糖を摂りすぎると、まず肝臓で中性脂肪がどんどんつくられます。それが脂肪肝やインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる状態)を引き起こし、動脈硬化や高血圧へとつながって、心臓に負担をかけます。
ところが最近の研究では、果糖が心臓をもっと“直接的に”傷めることもわかってきました。
高血圧や心臓の病気などで心臓に負荷がかかると、心臓をつくっている心筋細胞が果糖を積極的に取り込んで燃料として使い始めます。問題は、果糖の代謝にはブレーキがないことです。
心筋細胞が果糖を使い続けることで、心臓が異常に肥大し、心機能が低下して、心不全が進んでいく――そのような悪循環が起きることが、スイスの研究チームによって明らかにされました[Nature 2015; 522: 444-449]。
さらに最近の別の論文では、果糖を多く与えると心機能や血管の異常が生じることが報告されています[Tappia PS et al. Can J Physiol Pharmacol 2026; 104: 1-10]。
もちろん、心不全の原因は一つではありません。しかし、世界中で果糖を大量に含む清涼飲料水や加工食品の消費が増えている現状と、心不全パンデミックの広がりは、無関係とは言えないのです。

