人口が増えないなら移民を増やすしかない

そもそも出生率が下がった最も大きな理由が社会の成熟による価値観の変化にあるのだとすれば、子育て支援を多少厚くしたところで、出生率が劇的に上がるようなことにはならないだろう。

こうして人口増を前提に設計された既存のシステムを無理やり維持しようとする力と、個々人の合理的な選択とのあいだには、もはや埋めようのない乖離が生まれているのだ。

そんな中でも企業の短期的利益を極大化しようとすれば、日本人より低賃金で働き、また消費者にもなってくれる外国からの移民を増やすほかはない。

資本家の味方をしたい自民党政権は移民労働者の受け入れに熱心だが、単純労働を担う移民が急増すれば、地域社会との摩擦や文化的軋轢あつれきも生じかねない。

もはや不可逆的だとも言える人口減少という構造的変化に対し、従来型の拡大モデルを維持しようと躍起になればなるほど、新たな緊張が生まれるのである。

難民や移民のイメージ
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日本の賃金がなかなか増えない原因

日本では2010年代前半ごろから、労働人口(15〜64歳)が本格的に減少しており、今後さらに減少が続くことがほぼ確実視されている。

労働人口が減るということは、労働力という商品の供給が減るということだ。

市場原理に従えば、供給が減れば価格は上昇する。すなわち、本来であれば賃金が上がる方向に働くはずである。

しかし、現実はそう単純ではない。

グローバル化が進んだ現在では、国内の労働者が減っても、その不足分を海外から補うという選択肢がある。

実際、日本は外国人労働者の受け入れを拡大しているので、都市部のコンビニや飲食店、物流現場などでは外国人労働者が多数を占める光景は今や決して珍しくない。

それに加えてAIやロボット技術の劇的な進歩もある。初期投資は必要であっても、長期的に見れば人を雇うよりもコストを抑えられると判断されれば、企業が自動化に舵を切るのは当然の選択だろう。

こうして外部からの補充や技術による代替によって調整されれば、国内人口が減少したとしても労働の供給量はそれなり維持される。その結果、本来であれば生じるはずの賃金上昇圧力は弱まり、国内の労働人口が減っているにもかかわらず賃金が大きく上昇しないという現象が生じているのだ。