「持続可能性」政策が抱える矛盾

近年、SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)のキャンペーンが広く展開されているが、「持続可能性」を本気で優先するのであれば、人口は少ないほうがいい。環境への負荷を考えても少子化はむしろ歓迎すべき現象であるはずなので、SDGsのキャンペーンと少子化を食い止めようという政策が両立するとは思えない。

そもそも「持続可能な開発(Sustainable Development)」という言葉自体に矛盾がある。

サステイナブルとは均衡や維持を意味するが、ディベロップメントは拡張や膨張を意味する。成長を前提とした拡大型経済の枠組みのままで、持続可能性を実現するなんてことは、ほとんど不可能な話だと言わざるを得ないだろう。

SDGsの文字が刻印された木製の立方体
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先進国で少子化が進むのは当たり前

少子化は日本に限らず、多くの先進国で見られる現象だ。

子どもがまったく死なないと仮定すれば、合計特殊出生率(一生の間に一人の女性が産む子どもの数の平均)が2であれば、理屈の上では人口は増えも減りもしないということになるが、大人になるまで亡くなる子どもの数は0ではないので、一般的には2.1くらいでないと人口は維持できないと言われている。

東アジアの国々の2025年の合計特殊出生率を見てみると日本は1.15、韓国は0.80、台湾も0.87、中国は0.98なので、2.1にははるかに及ばない。アメリカは1.62なので、東アジアの国に比べたら高いけれど、それでも人口を維持できる水準には達していない。

女性があまり子どもを産まなくなったのは、教育水準が上がって社会進出が進み、子育てだけに人生のすべての時間を費やすのはバカバカしいと考えるようになったせいだろう。自己実現や職業的達成を重視する価値観が広がって、出産や育児の優先順位が下がるのは、至極自然な流れだと言える。

さらに日本の場合、住宅費や教育費が高騰し、将来の所得の見通しが立ちにくいという状況もあり、子どもを持つことは大きな経済的決断になる。

それでも少子化を食い止めるべく子ども手当などさまざまな支援策が打ち出されていて、そのおかげで出生率が多少増えた地域もあるようだが、社会全体の流れを反転させるほどになってはいない。