「大丈夫です」は自分の判断に過ぎない

リーダーが知りたいのは、まずは「事実」なのです。こんな品質クレームがあって、お客様が怒っている。今期の数字の見込みは○○○億円で、目標との乖離かいりは××億円……。

にもかかわらず、自分の勝手な「判断」だけを言うメンバーが少なくありません。「とりあえず、なだめましたから大丈夫だと思います」「数字は頑張れば達成できる見込みです」などと。

人は、自分に責任がある問題を伝えるときには、できるだけ問題を小さくしたいものです。それは、仕方のないことです。だから、「いや、大丈夫です」ということに落ち着けたい。

しかし、「大丈夫です」というのは、メンバー個人の判断です。リーダーがまず聞きたいのは、メンバーの判断ではありません。

まず「事実」から、しっかり報告をしてほしいのです。

なぜお客様は怒っているのか。どのくらい怒っているのか。それによって、どうするかは、リーダーが判断する。メンバーの判断を聞いたとしても、最終的にはリーダーが判断すべきです。「とても大切なお客様だから、責任者の私が謝りに行く」という判断もできる。だからこそ、正確な「事実」が重要なのです。

悩むビジネスマン
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悪い報告に「ありがとう」と言うトヨタG

正確な「事実」を把握するためには、実はリーダーも心得なければいけないことがあります。それは、怒ってはいけないということです。「お前、何をやっているんだ」と頭ごなしに怒れば、メンバーは萎縮してしまい「事実」を報告しにくくなります。悪い話は上に一切報告しないようなことも起こります。

大切なことは、悪い話であっても、冷静に「事実をテーブルの上に置く」ことです。

カリスマ経営者が社内で怒鳴り散らし、圧力をかけ、部下が仕方なく数字を粉飾して問題になる、というケースが多くあります。これはワンマン経営者が長く君臨した会社によく起こることです。それは、100%トップの責任です。

トヨタグループのある会社では、部下が悪い話を持ってきたら、まず「ありがとう」と上司は言います。報告してくれたことに対するお礼を真っ先に伝える習慣があるそうです。

もちろん、メンバーが手を抜いて起きたことは、しからないといけません。しかし、そうでないなら、仕方がないところもあるのです。

「人を信じてもいいけれど、人のすることは信じてはいけない」。これは、私の尊敬する上司であるFさんから教えていただいた言葉でした。