知的なタレントにシフトチェンジ

ただ、昭和から平成に移った1990年代には、日本社会も大きな転機を迎えた。バブル崩壊以降、「一億総中流」意識は徐々に薄れ、格差も実感されるようになった。それゆえ「なんでも遊びにしてしまう」ことも難しくなった。

それに伴い、タモリも必然的にモデルチェンジすることになった。『いいとも!』に出演する芸人や素人に絶妙の面白いあだ名をつけるなど「毒」の部分も少し残しつつ、博識さや多趣味ぶりが次第に前面に出るようになる。

『タモリの音楽は世界だ』(テレビ東京系)のような音楽を深掘りする番組が1990年代にあり、おなじみの『ブラタモリ』は2000年代に始まった。料理の腕前や食への蘊蓄が評判になった『ジャングルTV~タモリの法則』(TBSテレビ系)も1990年代から2000年代にかけての番組である。

要するに、タモリは知的なタレントの代表になった。それは、時代の変化に応じたごく自然な選択だった。

時代の流れを察知する能力

1980年生まれの梶原雄太がタモリを知ったのも、おそらくこのあたりだろう。梶原少年からすれば、タモリは「何でもよく知っている、ちょっと面白いひと」くらいのイメージだったとしても、それほど不思議ではない。『いいとも!』のレギュラーになったのも、2003年からだ。

こうしてタモリの「毒」は、日本社会の変質とともに確実に薄まった。

敗戦の年である1945年の8月に生まれたタモリの半生はまさに戦後の歴史そのものだが、いまやその戦後日本社会自体にさらなる変化の兆しが見える。

2022年の年末に『徹子の部屋』に出演した際、2023年を「新しい戦前になるんじゃないですかねえ」と答えたことが話題になったが、その点から見ても、タモリには時代の流れを察知する能力が人一倍あるのかもしれない。

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