「自衛官による国歌斉唱が実現した!」
北村経夫参院内閣委員長は、12日の当日に「今回の自民党大会、実は『自衛官による国歌斉唱』が史上初めて実現しました!」とFacebookに投稿し、鶫氏と上官である中央音楽隊副隊長(柴田昌宣氏)との3ショットの写真も掲載している。私人としての行動ではないことは、この時点で明白ではないか。
にもかかわらず、小泉防衛相は14日の閣議後記者会見で「職務ではなく、私人として依頼を受けたと聞いている。国歌を歌唱することは政治的行為ではなく、自衛隊法違反に当たらない」と述べ、制服の着用についても「常時着用義務があり、制服を着て私人として行動することは問題ない」と強弁した。
小泉氏は、鶫氏が休暇中だったとも明らかにしている。姑息なことに、Xの投稿を13日に削除したのだが、これについては記者会見で「隊員に様々な負担がかからないようにと判断した」と、歯切れが悪かった。
そのうえで、鶫氏の出席情報について「私に(事前に)上がっていなかった。隊員も上の判断があったと思っただろう。報告体制にも改善点があるので徹底させる」と述べ、組織管理上の反省点を挙げたのである。
「報告が上がっていたら」という記者の問いには「(党大会に)行くことは、隊員を守るという大臣の責任からも避けなければならない」と応じ、出席すべきではなかったとの考えを示した。こうした一連の発言が結果的に防衛省の失点に繋がったとも言える。
「事業者から歌手の推薦があった」
党大会運営の責任者の一人でもある萩生田光一幹事長代行は14日の記者会見で、これまでの経緯について「党からの発案、要請ではなく、演出などを企画している事業者から歌手の候補として推薦があった。事業者に問題がないか確認したところ、防衛省からも『問題ない』という回答があった。最終的には党大会運営委員会で協議し、決定した」と説明した。
党としての対応を正当化したつもりだろうが、自衛官の出席を事前に知り、党で是非を検討した結果、ゴーサインを出した、と認めたことには違いはない。
萩生田氏は、そのうえで「防衛省側に改めて確認したところ、『私人として特定の政党の大会に出席し、国歌を歌うこと自体は自衛隊法に直ちに違反するものではない』ということだった」と述べ、事実確認を含めて、一切の責任を防衛省に丸投げしたのである。
他責に過ぎよう。事業者や防衛省に確認するまでもなく、国家公務員である自衛官を一政党の大会に動員してはならないだろう。
党大会の主催者トップである高市首相も14日夕、記者団に「当日、会場に着くまで自衛官が来ることは知らなかった」と自身の関与を否定するとともに、「特定の政党への支援を呼びかけたということではなく、法律的に問題はない」との見解を示した。
