「首相の孤立」が最大の弱点
首相は孤独な存在だ。国家の命運を左右する決断をする時も、後ろを見れば誰もいない。誰も助けてくれず、もちろん責任も取ってくれない。かつて麻生太郎元首相はそれを「どす黒いまでの孤独」と表現した。
だからこそ、普段から与党議員だけでなく、様々な分野の人と会い、意見を聞いて、ナマの情報に接していないと、国の命運をかけるような判断はできないといわれる。
自民党のあるベテラン議員は、高市政権の弱点は、首相が孤立しているそのことだと言い切った。
前任の石破茂首相も、その前の岸田文雄元首相も、夜も昼も頻繁に様々な人たちと会食もしていた。もちろん、飲み食いなしで意見を聞く機会も設けていた。官邸主導のトップダウンの体制を作った安倍晋三氏は、周りには側近議員や官僚たち、さらにブレーンと呼ばれる学識経験者がいて、常に安倍氏の相談に乗り決断を支えていた。
このチーム・安倍が、与党の実力者たちとの根回しや調整も進めていた。これが憲政史上最長となった長期政権を形作ったのである。
他人を信用しない、だから信用されない
高市首相を初当選の頃から知るという自民党関係者も、同様の指摘をしている。
「高市さんは、他人を信用しないから、他人も高市さんのことを信用していない。一議員ならそれでいいが、首相となると話は別だ。好き嫌いは別として、議員でも役人でも信用できる人間を周りに置いて相談しないと。この半年は、大きな失政があったわけではないから支持率も高いが、これから先は大変だ。イラン情勢次第で物価が高騰すれば、経済全体がおかしくなり、必ず内閣が批判される。これから本当に寝る暇もないくらい神経をすり減らすことになるかもしれない。そうなっても周りに誰も相談できる相手がいないようでは、国家の危機に対応できないのではと心配しています」
この半年の高市首相の日々を見ていると、「淋しき首相官邸の女王」というイメージがますます強まっている。古い自民党の政治家とは違う、新しい時代の首相像を作ろうとしているという見方もできなくはない。
しかし、現実に起きていることは、イラン情勢をはじめとする経済や安全保障の未曽有の危機である。それに対処するには、官邸だけではない、与野党も含めた「オールジャパン」の新しい体制づくりが必要になるかもしれない。
発足から半年を過ぎた高市政権に問われていることはそのことではないだろうか。


