「憲法改正の発議にめどをつけたい」
その2日後には高市氏は更に「燃えた」。
12日、東京・高輪で開かれた自民党の定期大会は、さながら衆院選圧勝の祝勝会の様相を呈した。会場の周囲には高市首相の等身大のパネルや「サナ活」グッズが入ったガチャガチャが並べられ、歴史的な大勝を生んだ初の女性首相の人気と強さをアピールした。
そして特別ゲストの世良公則氏が、ヒット曲「燃えろ いい女」を熱唱。サビの部分の歌詞を替えて「燃えろいい女、燃えろサナエ」と絶叫すると、高市も満面の笑顔で両手を掲げて、それに応えた。
真冬の電撃解散で、急拵えとはいえ、170人近くを擁する野党第一党の中道改革連合を3分の1の勢力までに粉砕、文字通り焼け野原にした高揚感が続いているのだろうか。
党大会での挨拶も力がこもっていた。選挙で掲げた公約実現に全力を挙げるとした上で、「時は来た。憲法改正に進んで来年の党大会の頃には改正の発議にめどをつけたい」と改憲への強い決意を表明したのだ。さらに、男系男子の皇位継承を守るための皇室典範の改正など国論を二分するような政策課題に果敢に挑戦すると繰り返した。
あえて困難な課題を掲げることで、衆院選圧勝の勢いを背景に与野党の慎重論を蹴散らしてでも、前に進むのだ。そう思い詰めているようにさえ見えた。
立ちはだかった参議院の壁
「本当は弱気なんじゃないか。予算の年度内成立もできなかった。参院が思い通りにならないことは身に染みただろう。参院自民党の人事は独立しているから、首相の独断では決められないし、そもそも参院では与党が過半数割れしているから改憲の発議どころか、首相肝いりの法案も確実に通せるか疑問符がついたからね」
立憲民主党の中堅参院議員は、そんな見方を示した。
参院での首班指名も、一回目の投票では過半数に達せず、決選投票にまでもつれこんだ。衆院での予算審議は、圧倒的な多数の力を背景に、委員長職権を繰り返す強引な運営で、現行の方式では最短の審議時間で通過させることができた。
しかし与党が少数の参院では、数を頼んで押し切るような委員会運営はできず、結局、数日間とはいえ成立が新年度にずれ込み、首相が出席する集中審議をのまざるを得なかった。
参院自民党の石井準一幹事長が、年度内成立を保証すると言いながら、野党の要求に譲歩を続けたことから、高市首相は「石井に騙された」と不信感を抱いたというが、参院側に言わせれば、少数与党の現実からすれば当然の妥協であり、今後の法案審議を考えても、できるだけ国民民主党や参政党の協力を得やすくした方がいいという判断だ。
つまり参院の壁を作っているのは、衆院と違って数で押し切る力がない、つまりそれだけの指導力が高市首相に欠けているからなのである。

