3年9カ月に及ぶ活動休止を経て、BTS(防弾少年団)が帰ってきた。熱烈な推し活で知られるARMY(BTSのファン)は、このときを今か今かと待っていたようだ。新アルバム『ARIRANG』の予約は1週間で400万枚を突破し、ワールドツアーのチケットも発売分は瞬く間に完売した。
だが世の中では新しいトレンドが生まれ、若いアーティストが次々と台頭する。メンバーの大半が30代に入った今、常識で考えれば、Kポップの王者もさすがに人気の低迷は避けられないのではないか。
いやBTSなら、そんな常識さえ覆すかもしれない。彼らはKポップ史上最も成功したスターであり、その影響力はアルバムやチケットの記録的な売り上げを超越する。
7人の少年がソウルの古びた地下スタジオで昼夜を問わず練習に打ち込み、たゆまぬ努力で国際的なスターの座へ。そんなBTSのサクセスストーリーは、勤勉と成功が重視される韓国のみならず世界中の人々を勇気づけた。
2013年のデビュー直後はパッとしなかったが、やがて若者の葛藤を表現した曲がYouTubeを通じて世界の視聴者に届いた。彼らはミュージックビデオや韓国の音楽番組に出演するだけでなく頻繁に舞台裏の様子を生配信したので、ファンはいつでもBTSに会うことができた。「グループと共に歩み、困難を乗り越えている気がした」「つらいときにもBTSの存在に慰められた」と、多くのARMYが語る。
この「台本のない」配信は、エンターテインメント業界におけるファンエンゲージメント(関係構築)戦略を一変させた。BTSにとっては、生配信でARMYと強い絆を築いたことがコロナ禍での人気持続につながった。
パンデミック期間中もBTSは楽曲の制作を続け、その音楽は新たな高みへと飛翔。初めて全編を英語で歌った2020年の「Dynamite」、21年の「Butter」と「Permission to Dance」が全米シングルチャートでナンバーワンを獲得し、ジェーソン・デルーロやコールドプレイとのコラボ曲などさらに3曲が1位に輝いた。アジアのアーティストがここまでの成功を収めた例はほかにない。

