面談は一組あたり30分から1時間程度

一般的に男性は、弱みを見せたくないためか、感情を露わにすることが苦手だ。

「最近のご家庭の様子、お仕事のこと、お子さんとの会話、なんでもいいですよ、と言いました」

しばらくすると一杯喋っていただき、気づいたら私も一緒に泣いていましたと微笑む。

「最後は話したことで、少し整理ができました。一生懸命がんばりますとおっしゃってくれた、一人でがんばりすぎないでほしい、私たちにも気持ちを分けてほしいと私は答えました。みなさん、私よりも人生経験がある方です。

そして、がんと闘い死ときちんと向き合っておられる。お話を聞くたび、私も自分と向き合い、一生懸命生きないといけないって思います」

面談は一組あたり30分から1時間程度。さらに長引く場合もある。がん相談支援センターでは、仲川を含めてソーシャルワーカーが4人、看護師が4人で応対している。

看護師の遠藤美幸もその中の一人である。

遠藤ががんに引き寄せられるきっかけになったのは、2005年のことだった。

「(近畿大学)奈良病院の病棟で働いていたとき、婦人科にがん末期の患者さんが何人かおられたんです。いろんなことをやってあげたいんですけれど、自分にスキルがなかった。どうしていいのか分からず、何もしてあげられなかった」

がんになっても、その人らしさをどう保つか

その後、別の病院で在宅での緩和ケアに関わるようになった。緩和ケアとは、病気のつらさを和らげ、その人らしい生活を支える医療の意だ。がん治療において、緩和ケアは大きな柱である。

「戦争を経験された90代のおばあちゃんの患者さんがいました。9人ぐらいお子さんがいて、お孫さんも沢山おられる方でした。人に絶対に迷惑をかけないというのが信念だったようです。お亡くなりになる直前、ちょっと吐血された。

動けないのに、パジャマやベッドを絶対に汚したらダメとおっしゃって、なんとか起き上がろうとされるんです。苦労して生きてこられた方ですし、私たちは迷惑だと思わない。もっと頼ってもいいのにって。でもそれが彼女の大事にされていたことなんだと思いました」

その後、近畿大学堺病院に勤務しながら、緩和ケアの認定看護師資格を取得、2024年から、がん相談支援センターに配属された。

近畿大学附属病院
近畿大学附属病院(写真=KENPEI/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

遠藤が大切にしているのは、がんになってもその人らしさをどう保つか、である。

「(薬物)治療はしんどい。未成年、10代の患者さんに延命は可能だけれど、日常に戻れないかもしれないと説明しなければならないこともある。すると中には、治療したくないという子もいるんです。一方、親は、生きてほしい、可能性が少しでもあるならば頑張って治療してほしい」

がんは転移、再発の可能性が高い。1つのがんを抑えて延命できたとしても、完治しない場合もある。

「そんなときは彼、彼女がどう考えるのかをまず確認します。そして親御さんとお子さんの間に入って調整役をすることもあります」

私も子どもがいますし、親の気持ちが痛いほど分かる、しんどくなることもありますと、呟いた。