建機大手のコマツを、新興国リスクが襲っている。世界的な資源価格の下落から、注力してきたアジア、中南米での鉱山向け機械の受注が急激にしぼみ、2014年3月期(米国会計基準)の連結営業利益見通しが、大幅な減額修正を余儀なくされたからだ。海外企業との競争で円高、高いエネルギーコストなどの「六重苦」にさいなまれ、海外への生産移転も視野に入れる日本の製造業にあって、国内生産基盤の強化に取り組む同社は“優等生”と囃されてきた。それだけに、新興国リスクに見舞われた同社の失速は、新興国シフトを強める日本企業にとって、決して他人事と片付けられない。
同社が10月28日に発表した業績見通しの修正は半端でなく、株式市場にはさながら「コマツ・ショック」も走った。当初、前期比44%増の3050億円と大幅増益を予想していた連結営業利益は950億円も下ぶれし、同1%減の2100億円と減益見通しに一転した。10月下旬から発表が本格化した3月期決算企業の9月中間決算は、円安の定着などから、「リーマン・ショック」前の08年3月期の水準が視野に入る好業績が相次ぎ、同社の失速ぶりが際立っていた。
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