高濃度のプロテイン摂取が不要な理由

というのも、私たちの体には「アミノ酸プール」という優れた仕組みがあるからです。プールという名のとおり、そこには一定量のアミノ酸がストックされています。

このプールには、次の3つの生成経路によって、いつでも一定量のアミノ酸が保たれています。

1 筋肉など体のタンパク質が分解される
2 食事などで摂ったタンパク質が分解される
3 体の中でつくられる

私たちの体のタンパク質は、分解されてアミノ酸となり、そのアミノ酸からまたタンパク質をつくるという形で再利用されます(1)。

さらに、食事で摂ったタンパク質もあるし(2)、自分でつくりだすこともできます(3)。

つまり、十分すぎるほどのアミノ酸があるわけです。それにもかかわらず、高濃度のプロテインを摂れば、体内で分解されてどんどんアミノ酸がつくられます。

プールから溢れ出る過剰なアミノ酸は、分解されて尿素などの老害物を多量に生成します。そうなればそれを濾過する腎臓が疲れきってしまうことは、容易に想像がつきます。

実際に、私のクリニックで定期的に行なっている検査で、尿アルブミン値がいきなり高くなった女性の患者さんがいました。詳しく話を聞くと、健康のためにと通い始めたスポーツクラブですすめられたプロテインを飲んでいることがわかりました。

そのプロテインをすぐにやめてもらうことで、尿アルブミン値も正常化しましたが、定期的に検査を受けていなければわからなかったでしょう。

ジムでトレーニングのためにプロテインを飲む男性
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです

それでも摂りたいなら……

タンパク質を摂りすぎると過剰濾過が生じて腎臓を悪くするということは、すでに1982年に、アメリカの著名な腎臓病専門医のブレンナー教授によって示唆されています。医学的に揺るぎない事実なのです。

腎臓病は気づかないうちに進行します。「自分は健康だ」と思っているうちに進行します。だから、現在どれだけ健康な人でも、高濃度のプロテインなどは摂らないほうがいいと、私は考えています。

どうしても摂りたいというなら、先の記事でお伝えした尿アルブミンとeGFRを3~6カ月ごとに検査し、異常値が出たらすぐにやめるようにしてください。