安定して確保できる魚種は今や貴重
こうした動きはスーパー業界の外にも波及する可能性がある。大手回転寿司チェーンの仕入れ担当者は、「世界的に水産物価格が高騰している中、スーパーでの販売動向を注視しながら、扱いを検討していきたい」と前向きな姿勢をみせている。
鯨肉販売への注目が高まる背景には、捕鯨会社であり鯨肉流通も担う共同船舶の営業力もあるが、海洋環境の変化に伴い、魚業界ではサンマやサケ、イカをはじめ多くの魚種が不漁・高値に見舞われていることが要因に挙げられる。
さらに、スーパーや回転寿司で多く扱われる輸入の冷凍魚は、海外での魚需要の高まりや、円安の影響による「買い負け」が一層顕著になっている。そこで、国産の海産物で、比較的安定した価格で確保できる鯨肉に熱い視線が注がれるようになったというわけだ。
大手スーパーの鮮魚担当を長年務めてきた水産アドバイザーによると、「クジラの刺し身は100グラム当たり398円で店頭に並べても利益が出る。これは例えばマグロの刺し身やブリの切り身など、人気商材と同じレベル。今後も供給サイドからの鯨肉への注目度は高まっていくだろう」と、クジラ大衆化の可能性を示唆している。

