ひとまず「サハリン2」は継続となったが…

最終的には日本政府も仲介して保険会社と再保険会社との間で交渉が行われ、再保険引き受けは現在継続されています。

その結果、サハリン2からのLNG輸入は止まることはなく、2024年時点で日本のLNG輸入の約9%を占めています。

しかし、2025年11月に英国政府がロシア産LNGの海上輸送に対する保険サービス提供を2026年春から段階的に禁止する方針を示しており、今後の状況はまたも不透明なものとなっています。

今現在で影響を大きく受けているのはサハリンからのLNG輸送であるものの、同様の問題は紛争地域に関連するコンテナ輸送でも起こる可能性があるのです。

ほかにもロシアによるウクライナ侵攻の国際物流への影響がありました。燃料価格の問題です。

侵攻は世界的なエネルギー価格高騰をもたらし、船の燃料価格も高騰を続けているのです。

燃料は運航費の10~20%を占め、海運会社にとってはコスト高騰の要因になっています。

地政学上の変化が様々な形でサプライチェーンの状況に影響することは考慮に入れておく必要があるでしょう。

紅海でのフーシ派による商船攻撃

もう一つの例は、2023年10月に始まったイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスとの紛争の影響です。

この紛争に伴ってフーシ派による商船への攻撃が始まりました。

2023年に37回、2024年に104回、2025年に入っても11月までに7回の攻撃が報告されています。

紅海はスエズ運河を起点とする重要な海運ルートであり、世界の海上貿易量の約10%、海上コンテナ貿易の約20%がこの航路を通っていると言われますが、さまざまな種類の船種が紅海の通航を回避せざるを得なくなりました。

コンテナ輸送ではアジア・欧州間やアジア・北米東岸間を航行する船が、スエズ運河から喜望峰への航路変更を余儀なくされています。

2025年11月時点で、スエズ運河を通航するコンテナ船の船腹量は、2023年と比較して88%減少した状態です。

2025年9月25日にトランプ大統領が提案した合意案がイスラエルおよびハマス双方の合意を得て、10月10日イスラエル軍の撤退開始とともに同計画の第1段階が始まっています。